目次
・LFP⁺ながの 課題検討会⑥を開催しました
・課題検討会⑥ 議事録
LFP⁺ながの 課題検討会⑥~新たな食品の物流体制について~を開催!
「新たな食品の物流体制について」をテーマに課題検討会を開催しました。
地域の農産物や食品を新たな販売先へ届けようとする際、大きな課題となるのが物流です。特に直売所や生産者、飲食店などを結ぶ場合には、一度に運ぶ量が少ない「小ロット物流」をどのように成立させるかが課題となります。
今回の検討会では、既存の配送網を活用した直売所間物流の取り組みをはじめ、新聞輸送のトラックや新聞販売網を食品物流に活用する可能性について意見交換を行いました。
また、長野県産食材をホテルの料理人が直接生産現場まで訪ねて活用する「アグリシャスパーティー」の取り組みから、生産者と実需者をつなぐ上での物流の課題についても共有しました。
新たな物流網を一からつくるだけでなく、それぞれの事業者がすでに持っている配送ルートや拠点、販売網を組み合わせることで、地域の農産物や食品を必要な場所へ届ける新しい仕組みをつくる可能性について議論を深めました。
課題検討会 議事録
(発言者敬称略)
1.開会
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
今回の課題検討会では「新たな物流」を中心テーマとしつつ、物流に限らず、LFP⁺ながのの中で進んでいる新たな取り組みも含めて幅広く共有したいと説明。
特に、これまでLFPで検討を進めてきた直売所間の農産物物流について、実際に取り組みを進めている事業者から現状を報告してもらうとともに、異なる事業者が持つ物流網を組み合わせる可能性について意見交換を行いたいと述べた。
また、長野県産食材を活用するホテルの取り組みや、LFP発足当初からテーマとしてきたきのこの新たな商品展開についても情報共有し、新たな連携につなげたいと呼び掛けた。
2.直売所間物流による端境期対策と余剰農産物の活用
【発言】(株)マツザワ 森本康雄氏
農産物直売所では、地域で採れた旬の野菜や果物を手頃な価格で販売できることが大きな魅力である一方、冬場などの端境期には地元産農産物が不足し、売り場のボリュームが落ちてしまうという課題があると説明。
スーパーなどでは産地リレーによって年間を通じて青果物をそろえる仕組みが確立されているが、地域産品を中心とする直売所では、端境期に品ぞろえが不足しやすい。商品が少ない状態が続くと来店客が減り、その後に農産物が増える時期になっても客足がすぐには戻らず、直売所経営にも影響すると指摘した。
同社でも過去に直売所運営で同様の課題を経験したことから、自社の物流網を生かし、地域間で青果物を運ぶ取り組みを進めてきた。
もともと同社では、駅、空港、ホテル、旅館、高速道路のサービスエリア、道の駅などへ土産品を届ける自社配送網を持っている。この既存ルートに農産物を組み合わせることで、新たな青果物流を一から構築するのではなく、既存の物流を有効活用している。
具体的には、長野県の直売所が端境期に入る時期には、三ヶ日みかんや蒲郡みかんなどの柑橘類を愛知県方面から長野県へ運ぶ一方、長野県でリンゴや梨などが多く出荷される時期には、それらを岐阜県、愛知県、静岡県などへ運んで販売している。
LFPでのマッチングをきっかけに、Vif穂高との取引を開始し、その後、道の駅安曇野松川「寄って停まつかわ」、山梨県の風土記の丘農産物直売所などにも取り組みが広がっている。
風土記の丘では、端境期に長野県産のリンゴや柑橘類などを供給する一方、ブドウやトウモロコシなどが大量に出荷される時期には、それらを別地域へ運ぶ取り組みにも挑戦している。
今後は、自社の営業所や既存の配送網を生かしながら、さらに多くの直売所や販売先とつながり、端境期の品不足とトップシーズンの余剰農産物という双方の課題を解決していきたいと述べた。
意見交換① 既存の物流網を生かした新しい農産物輸送
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
マツザワの取り組みについて、農産物輸送のためだけに新たな物流網をつくるのではなく、すでに土産品などを運んでいる既存の配送ルートを活用している点が大きな特徴であると説明。
小ロットの農産物だけを運ぶ物流を新たに構築すると輸送コストが高くなりやすいが、既存の輸送に農産物を組み合わせることで、効率的な物流につながる可能性があるとした。
【発言】朝日新聞社 見山遼氏
新聞社では日々、新聞を各地域へ輸送していることから、その物流網を農産物輸送に活用できる可能性があるのではないかとコメント。
直売所で余っている農産物を需要のある地域へ動かす取り組みに関心を示し、新聞輸送のトラックを使った連携の可能性を提案した。
【発言】(株)マツザワ 森本康雄氏
新聞を運んだ後の返り便を農産物の幹線輸送として活用し、マツザワ側がその先の配送を担う仕組みが考えられるのではないかと提案。
新聞輸送のトラックで同社の営業所や物流拠点まで商品を運び、そこから道の駅や直売所へ配送するなど、役割を分担することで新しい物流の仕組みをつくれる可能性があると述べた。
【発言】朝日新聞社 見山遼氏
新聞販売店から各家庭までの「ラストワンマイル」については、新聞販売店ごとの調整が必要となるため、一般貨物をそのまま家庭まで届けることは簡単ではないと説明。
一方、地域間を結ぶ「幹線輸送」については新聞輸送トラックを活用できる可能性があるとして、マツザワとの連携に関心を示した。
事務局からは、新聞輸送を幹線物流として活用し、その先を地域の物流事業者が担うという組み合わせは、新しい食品物流の可能性として重要であり、今後も具体的な連携について継続して話し合っていきたいとの考えが示された。
3.新聞販売網を活用した地域商品の販売・配送
【発言】信毎販売センターふれあいネット 川合由之氏
長野県内各地に営業所を持つ新聞販売網を活用し、折込チラシを通じた商品の紹介・販売に取り組んでいると報告。
その一例として、LFPで進めている環境保全型の米づくり・酒づくりに関連した商品を、新聞読者へ紹介する取り組みを開始していると説明した。
商品そのものを販売するだけでなく、環境保全や脱炭素など、商品が生まれた背景や地域の取り組みも合わせて発信することを重視しているとした。
また、自社でも新聞輸送のトラックや地域への配送網を持っていることから、目的地まで商品を運んだ後に別の商品を積んで戻るなど、既存物流をより効率的に活用する可能性にも関心を示した。
新聞販売のネットワークを、地域商品の情報発信や販売、物流にも活用することで、新たな地域貢献につなげたいと述べた。
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
ふれあいネットでは、LFPで取り組んでいる環境保全型の米を原料とした酒づくりについて、その取り組みの意義を折込チラシなどで消費者へ伝え、販売につなげる試行を始めていると補足。
朝日新聞社の幹線輸送、信毎販売センターふれあいネットの地域ネットワーク、マツザワの直売所配送網など、それぞれ異なる強みを持つ事業者がつながることで、新しい物流の形が生まれる可能性があると整理した。
今後、関係事業者による継続的な意見交換の場を設け、具体的な連携の可能性を探っていくとした。
4.生産者と料理人をつなぐ「アグリシャスパーティー」
【発言】ホテルメトロポリタン長野 渡辺利之氏
長野県産農産物をホテルの料理人が料理として提供するイベント「アグリシャスパーティー」について紹介した。
昨年度から、ホテルの料理人が県内の生産現場を実際に訪れ、生産者から栽培方法や農産物の特徴、農業に対する思いなどを聞いた上で、その食材を料理として提供する取り組みを行っている。
昨年度は14カ所の圃場を視察。イベントでは信州産食材を使った約40種類の料理を提供し、生産者にも参加してもらい、来場者へ直接、食材への思いやこだわりを伝えた。
また、イベントだけで一度使用して終わるのではなく、一度取引した食材をレストランや宴会などでも継続して使用することを重視。
大量発注を生産者に求めるのではなく、「今ある量を仕入れる」といった形で、生産者に無理のない継続的な取引を目指している。
こうした活動によって、料理人やホテルスタッフの意識にも変化が生まれ、生産者や生産現場への関心が高まっていると報告した。
今年度はさらに活動を拡大し、約30カ所の農場、酒蔵、ワイナリーなどを訪問。10月10日に2回目となる「アグリシャスパーティー 美味しい信州フードの集い」を開催する予定であると紹介した。
意見交換② 生産者とホテルをつなぐ物流の課題
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
生産者と料理人が直接つながることで、新たな農産物の需要が生まれていることを評価。
一方、実際に多くの生産者からホテルへ農産物を集める際に、どのような物流体制を取っているのか質問した。
【発言】ホテルメトロポリタン長野 渡辺利之氏
ホテルでは取引上の仕組みから、取引できる事業者に一定の制約があり、生産者との直接取引を簡単に増やせないという課題があると説明。
現状では中間事業者を通じて食材を仕入れているが、本来は生産者とホテルが直接つながり、より柔軟に食材を仕入れられる仕組みをつくりたいと述べた。
そのためには、生産者からホテルまで小ロットの農産物を運ぶ物流の仕組みが必要であり、今回紹介されたマツザワの物流網などとの連携にも関心を示した。
生産者と実需者がつながっても、実際に商品を運ぶことができなければ継続した取引にはならないことから、今後の取り組みを進める上でも物流の改善が大きな課題になるとした。
【発言】長野県農政部 農産物マーケティング室 竪谷真一郎氏
生産者の現場を料理人が実際に訪れることで、料理人の意識が生産者へ向き、それが料理への情熱にもつながっていることを評価。
行政としても、生産者と実需者が直接つながる機会を増やしていくことは重要であり、今回の取り組みから多くの示唆を得たと述べた。
5.長野県産きのこを活用した新たな商品展開
【発言】三谷産業(株) 斉藤朋之氏
長野県産のえのき茸やぶなしめじを原料とした「きのこエキス・出汁調味料」の取り組みについて紹介。
えのき茸やぶなしめじから独自の製法でうま味成分を抽出し、食品メーカー向けの調味料原料として販売を進めていると説明した。
近年、昆布や鰹など従来の出汁原料では、生産量の減少や燃料費の高騰などを背景に、価格上昇や安定供給への懸念が高まっている。一方、長野県産のえのき茸やぶなしめじは工場栽培が中心で、比較的安定した生産が可能であることから、新たな出汁原料としての可能性があると紹介した。
また、きのこエキスは、うま味を加えるだけでなく、大豆由来のにおいや食品加工時に生じる気になる風味を抑える効果も期待されており、麺つゆ、スープ、豆乳加工品、食肉加工品など、幅広い食品への活用を検討していると説明。
今後は、長野県産きのこを使った新たな「出汁」として県内外で採用事例を増やし、きのこの消費拡大にもつなげていきたいと述べた。
意見交換では、学校給食向けの加工食品や食肉加工品への活用について関心が示され、参加事業者からは、実際にサンプルを取り寄せて商品開発を検討したいとの声も上がった。
LFP⁺ながのが発足当初からテーマとしてきた「栽培きのこの消費拡大」にもつながる取り組みとして、今後の事業者連携が期待される。
まとめ
今回の検討会では、「新たな食品の物流体制」をテーマに、直売所間物流、新聞輸送、新聞販売網、ホテルと生産者を結ぶ食材調達など、さまざまな取り組みを共有しました。
地域の農産物物流では、一定量をまとめなければ運びにくい「小ロット物流」が大きな課題となっています。特に、直売所からレストランやホテルなどへ少量の農産物を届ける場合、既存の市場流通だけでは対応しにくい場面があります。
一方、今回の意見交換では、
・すでに走っている配送便を活用する
・行き便や返り便を組み合わせる
・幹線輸送と地域配送を複数の事業者で分担する
・既存の物流拠点や販売網をつなぐ
といった方法によって、新たな物流体制をつくれる可能性が見えてきました。
新しい物流網を一から構築するのではなく、それぞれの事業者がすでに持っている物流資源を組み合わせることが、地域の食品物流を持続可能なものにする一つの方向性と考えられます。
LFP⁺ながのでは、今回生まれた事業者同士のつながりを継続し、「余っている地域から必要としている地域へ」「生産者から使いたい実需者へ」と農産物や食品を届ける具体的な仕組みづくりにつなげていきます。
今後も月1回程度の課題検討会を継続し、参加事業者の連携を深めながら、具体的なプロジェクト化を進めてまいります。
※10月1日に「テーマ別課題検討会⑦」を開催します。参加希望の方は、下記よりお申し込みください!
・参加申込(9月・10月分)はこちら
・2026年度LFPながのHPはこちら
お問い合わせ
【連絡先】LFPながの事務局 (株)産直新聞社
〒396-0025 長野県伊那市荒井3428-7 alllaオフィスC
電話:0265-96-0938 FAX:0265-96-0939 E-maill:lfp@j-sanchoku.net
