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特集 手づくり漬物~地域の食文化を明日につなぐために

2018年、約15年ぶりに食品衛生法が改正された。2012年に北海道札幌市で起きた浅漬けによる食中毒事件などを受けて、改めて食の安全・安心が問われた結果、原則すべての食品等事業者がHACCP(※)に沿った衛生管理を義務付けられることになった。

営業許可が必要となる業種も見直され、新たに漬物製造業が加わった。新規業種には3年の猶予期間が設定されているが、完全施行は来年6月とタイムリミットが迫る。

法改正で要求される基準を満たすには、どうしてもある程度の設備投資が必要になる。そのため、ただでさえ高齢化が進んでいた手づくり漬物の生産者たちの中には、これを機に引退を考える人も少なからずいるという。

しかし、日本が誇る優れた発酵食品である「漬物」を、本当の意味で文化と呼べるまでに昇華させてきたのは、農家のおばあちゃんたちが漬ける手づくり漬物だと『産直コペル』は考える。実際それらは故郷の味、家庭の味を想起させるものとして、今なお多くの直売所の店頭で人気を博す。

食の安全・安心はもちろん大切だ。しかし一方で、そうした地域の食文化たる手づくり漬物の火を絶やさないようにするためにはどうすればいいのか――本特集を通じて、考えてみたい。

※HACCP(ハサップ)とは?
「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略で、国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会が発表した国際基準。食品等事業者が食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を、原材料の入荷から製品の出荷まで全工程において除去または低減させるべく、特に重要と定めた複数の工程で安全性を確保する衛生管理手法だ。