生産者と消費者を繋ぐアプリ「ジモノミッケ!」【愛媛県令和7年度 地域資源活用・地域連携(6次産業化)人材育成研修】

地域資源を活用し、新しい6次産業化を目指す。 スキルアップを目指し、実践者から学ぶ。

目次
  • ITで地域課題を解決する
  • 生産者と消費者を繋ぐマッチングプラットフォーム
  • 地域が潤う収益構造
  • 「ジモノミッケ!」の様々な使い方

川口 一八氏(TOPPANデジタル(株)(東京都台東区))

ITで地域課題を解決する

TOPPANデジタル株式会社の川口一八と申します。本日は、食の流通をアップデートする「ジモノミッケ!」のご紹介をいたします。私は地方創生を推進する部署で会津若松市のスマートシティAiCT(アイクト)に開発拠点を設けながら、人口創出、雇用創出等に取り組んでいます。会社としては「ジモノミッケ!」を始め、自治体向けのアプリ「クラシラセル」、地域決済システム、人の流通を目指した「まちスク」などの事業をしています。TOPPANは元々印刷会社なのですが、携帯のアプリ等が普及し印刷物の売り上げが減っている中で、会社として新しいデジタル領域に行くために様々な事業に取り組んでおります。私は今福島県会津若松市にいますが、会津若松市は東日本の震災が起こった後、スマートシティという一つのキーワードを掲げ、ITの力を使って新しい産業を生み出すまちづくりをしています。我々も5年前から共創スペース「スマートシティAiCT(アイクト)」に入居して実際に活動をしてきました。ここには様々な企業が入っており、常に地域課題に対しITを使って解決するような取り組みをしている場所です。
私たちが目指しているのは、「地域・市民・企業」にメリットのある三方よしの地域社会です。我々が主体で地産地消ビジネスをするのではなく、煩雑な受発注までのコミュニケーションや伝票処理をシステム化し、その仕組みを安く地域の運営会社に提供して地域の食と農を支えていきたいと考えています。あくまで儲かるのは地元の会社さんで、地域全体で一緒に地産地消を盛り上げていくことを目指しています。 2030年に一体この社会はどうなるのか。恐らく高齢化が進んで人口も流出し、税収もどんどん減っていき、公設卸はなくなって、卸・仲卸の方も疲弊していくだろうと。そんな中で、どうやって地域の食と流通を維持していけばいいのか、という課題が出てきました。そこで、エコで地元にもお金が落ちる、地元の目の前にある野菜が気軽に買えるような世界を目指して、「ジモノミッケ!」のシステムを立ち上げました。

生産者と消費者を繋ぐマッチングプラットフォーム

農業を取り巻く問題には高齢化や農産物の薄利、配送など色々とありますが、農産物の流通の仕組みはその原因の1つです。JAから市場に入り中央の市場に行き、そこで売れ残ったものがまた地方に戻ってくるのが今の流通です。この流通が原因で流通コストが上乗せされ利益を圧迫し、産地なのに鮮度の落ちたものがお店に並ぶ矛盾が起きます。本当に地産地消を実現するためには、生産者の「何が出せるのか」と購入者の「何が欲しいのか」の見える化が必要ではないでしょうか。都市部の流通ももちろん大事ですが、地産地消についてももう一歩みんなが歩み寄っていくことが大切だと思います。 ジモノミッケは、「誰がいつ、どのようなものをどれぐらいの量で出荷できるのか」という生産者の供給情報を登録し、それを見て購入者が購入するというシンプルな仕組みです。これを一社で運営することで限りなく手数料も低くし、収益改善に繋げています。また鮮度維持と廃棄抑制、需要可視化の部分では生産促進にも繋がります。また、ジモノミッケの特徴は、購入者がどういうものが欲しいのか登録できる事にもあります。例えば大根の葉っぱ付きが欲しい、完熟イチゴがいい、傷ありのトマトでもいいから欲しいなどです。実際に会津産リンゴを1トン探していますと募集したところ、何件かの農家さんで1トン揃える事ができました。今までなら電話をかけ続けて探すしかなかったはずです。ジモノミッケは「デジタル市場を地域で1つ持つ」というイメージです。卸市場では維持管理費、人件費もかかります。それをデジタル市場に置き換えてみんなが繋がりやすくするというのが我々の思想です。それは地元に運営会社を立てる事にも繋がっています。ジモノミッケのメリットは、生産者は自ら価格を決められ手取りの収入が増えることです。当然市場と同じなので、自分達だけ高くすれば売れなくなりますが、それは周りを見ながら価格は変更すれば良いと思います。また購入者もアプリで簡単に地元の旬を鮮度良く直接仕入れられます。運営会社は、地域内での経済循環を生み、活性化に貢献することができます。

地域が潤う収益構造

我々はあくまでもシステムの提供者であり、ビジネスの主体者ではありません。なぜなら、地元に産業を生み出したいからです。運営団体は地産地消の熱量を高くもってくれる人たちと組みたいと思っています。システム費を安くとは言いつつも、立ち上げに500万円ぐらいはかかります。そこを地方交付金や補助金などを利用して、自治体さんも仲間になってこの補助金を地元の運営会社さんに入れて欲しいと考えています。我々はシステムだけの利用料をいただき、一緒に認知活動もやっていきます。自治体単位なら地産地消はさらに歩みが加速すると思います。
収益構造は産直モデルとほぼ一緒で、掲載も登録も無料で、取引手数料が発生します。ただパーセンテージなどは地元の運営会社さんと一緒に決めています。商品が買われたら、月末に運営団体さんが購入者に請求書を出し、購入者は運営会社さんに料金を支払います。会津の場合は20%手数料なので20%が運営団体の利益で生産者に差額を支払います。相対で取引をすると受発注の紙等が手間で地産地消を阻害している要因ですが、我々のプラットフォームがあれば、その部分を運営団体が全部やってくれます。どんなに取引しても購入者は月末に一枚の請求書でよく、生産者も出荷していれば勝手に売れて勝手に入金されるため喜ばれています。月額100万円運営会社が売り上げを立てた場合、20万円が運営団体に入ります。そのうち我々に5万円プラス取引手数料の数%を支払うようなビジネスモデルになります。
配送の部分をどうするかは肝ですが、決まりはなく地元のアセットに応じて変えています。会津の場合は仲卸さんが運営会社なので、マッチングしたら生産者の軒下まで取りに行って購入者まで運んでおり、配送料を含めて20%手数料でやっています。山形の場合は山形県全体でかなり広域になり自社配送は難しいため、マッチング後はヤマト運輸さんが配送伝票で集荷し、配送料別途でやっています。徳島の小松島市の場合は、直売所を起点にものの受け渡しをしています。生産者は毎日来ており、購入者も希望通り普段買えない時もあるので、事前にジモノミッケのサイトで買っておけば取り置きができます。

「ジモノミッケ!」の様々な使い方

ジモノミッケは産直の仕入れにも使われています。閑散期に生産者の持ち込みが減り、高齢化で重量野菜を持ち込めない生産者も増加しています。対策としては市場から仕入れることが本来多いですが、県外産が売り場に増加すると産直の魅力が半減してしまいます。ジモノミッケであれば、県内でまだ作っている生産者と繋がり、地場産品の仕入れとしても利用できます。売れ残る可能性や販売価格も高くなるなど多少のリスクはありますが、実際会津で利用した店舗では、伝統的な赤ネギや葉っぱ付きの人参等ラインナップが増えて売り場は賑やかになりました。観光客にも好評で、普段利用している近隣の住民にも喜ばれています。逆に旬の時期に安く叩き売りされる時にも、より高い価格の取引先を見つける事ができます。これから生産者が減っていく時代に次の一手を市場に頼るのではなく、地元で解決する方法を会津若松市ではすでに取り入れています。
また、最近多いのは大手流通先とのBtoB取引です。大手の食品会社さんも直接仕入れる傾向が加速しております。会津では米農家さんに1日10件以上の電話があり農家さんも仕事にならず、供給能力から大幅に超えているものや、逆に少なすぎる金額のオファーがあります。これも大手の業者さんにジモノミッケでオファーを出してもらえば、そこから供給能力に合わせて生産者が手を挙げられます。今年のジモノミッケの実績としては、生産者・購入者共に100社ぐらいの登録と取引件数も5年目で500万円を超えていきそうです。
その他にも、会津の運営会社の会津中央青果さんがふるさと納税返礼品で利用しています。会津中央青果さんが申請主体となり、農家さんのふるさと納税参入の難しさを補っています。去年は1万円の柿から始めて、初年度で180万円ぐらいの注文がありました。また、市民や観光客向けの野菜のサブスクもしています。旬の定期便や、観光客が重くて持って帰れない時にQRコードで注文すると会津中央青果さんが後日お届けしています。その他に県外にいる家族に会津産のものを送りたいという要望に応えて、仕送り定期便も行っています。会津若松市では地産地消の取組が日本でも三歩ぐらい進んでいるような印象です。野菜や生産物の流通が自由にできるようになることで、地産地消のハードルが下がり、今後更にジモノミッケが広がるように取り組んで参ります。

本事業の詳細についてはこちらをご覧ください。

令和7年度地域資源活用・地域連携(6次産業化)人材育成研修

受講生募集

6次産業化に関心のある皆様のご参加をお待ちしております! ぜひお知り合いの方にもお声がけください。

締切 各研修開催の3日前まで
定員 各回20名程度(オンライン配信あり)
会場 テクノプラザ愛媛 研修室(松山市久米窪田町337-1)
主催 愛媛県農林水産部農政企画局農政課
対象 県内農林漁業者・地域資源を活用した商品開発等に関わる方

参加申込はこちら

お問い合わせ

株式会社 産直新聞社 四国事業部(愛媛県西条市) 担当:越智 携帯:080-8436-3830 Email:ehimekenrokujika@gmail.com (本社)株式会社 産直新聞社 〒396-0023 長野県伊那市山寺2514-17 (編集室) 〒396-0025 長野県伊那市荒井3428番地7 alllaオフィスC TEL:0265-96-0938 / FAX:0265-96-0939