地域に根付く新しいカタチのセレクトショップから見えること【愛媛県令和7年度 地域資源活用・地域連携(6次産業化)人材育成研修】

地域資源を活用し、新しい6次産業化を目指す。 スキルアップを目指し、実践者から学ぶ。

目次
  • アグリコレットの挑戦
  • 6次産業化を進めるにあたって
  • 販売について考える
  • 販売の更なる工夫

横山 眞二氏((株)とさのさと AGRI COLLETTO 店長(高知県高知市))

アグリコレットの挑戦

株式会社とさのさとAGRI COLLETTO店長の横山眞二です。食の複合施設AGRI COLLETTOについて説明させてもらいます。オープン当初は、生活提案型のサニーマートというスーパーと食材提案型のファーマーズマーケットの2店舗が並ぶという、通常は絶対やらない商売のやり方のスタートでした。しかもその横に嗜好品(おつかいもの)を扱うAGRI COLLETTOというセレクトショップを置く。最悪、競合店が3店舗並ぶかもしれないという、厳しい状況でした。結果は、やってはいけない三つの競合を皆で考え抜いて、共生へと繋げることができました。
AGRI COLLETTOという名前は、アグリカルチャーとコレクションを融合させた造語になります。まず私が決めたAGRI COLLETTOのテーマは、「高知のうまいを再発見」でした。高知の加工品がたくさんある中で、まずは地元の方々に知ってもらうために再発見してもらう場を作る事を目的としました。そこで「うまい」は漢字にすると「美味い」で食品だけになりますが、食品以外の商品も置けるようにひらがな明記にしました。このコンセプトのお陰で、ALL高知の商品のみでぶれないお取引きに集中できました。この店舗のターゲットの1つは、高知市民を核とした高知県民です。高知県民の約46%を占める高知市民は、高知県内の34市町村のどこかに故郷があるはずです。その人達に自分の故郷の商品を買ってもらう、それが第1ターゲットでした。ターゲット2つ目は、週末車で来られるファミリー層です。現在、当店は高知のうまいものなら何でも揃うお店になり、事業者は県内のみで、240社3400アイテムの商品を取り扱っております。
AGRI COLLETTOオープン前に色々なお店も参考にしましたが、同じ店を作っても今からやってはいけないだろう、ならこれまでにない新しい販売チャンネルを作ろう、というふうに考えました。そこで考えたのが、「贈り物の日別」という販売の切り口です。お歳暮、お年賀、内祝い、これら全部ができる道の駅や直販所にはできない新たな販売チャネルをつくろう!と思いました。わかりやすく言えば「用事もないのに行きとうなる店」です。嗜好品であるAGRI COLLETTOの存在意義について本当に考え抜きました。ただ、自分がスーパーマーケットに25年勤務した経験から、スーパーマーケットが隣にあるからこそ、適正売価で物を売る、ポイントや広告もない、先を見据えた持続可能な店舗作りに、どうせなら挑戦してみようと決めました。情報スピードが速く、お家でお買い物が簡単にできる時代に、あえて淘汰されていくリアル店舗で徹底的に地元にこだわり、「だしフェス」「ぽん酢まつり」など、お客様の来店動機を創造する戦略を考えました。

6次産業化を進めるにあたって

お店の中に「いっちょういったん売り場」という、JA高知県と高知県の相互協力のもと折半し、設置された6次産業化商品のデビューゲートがあります。ここには農家さん自らが作った商品が並んでいます。また、中山間地域の地域資源を生かした集落活動センターで作った加工品をチャレンジ販売するブースも設置。6次産業化を考えるためには、今の生産者を取り巻く外部環境を知ることが大切です。昔は、高知でも農家さんは後継者になる人が沢山おり、景気もよかったですが、今は肥料代、燃料費も高騰し人件費も上がりました。その割に青果品の価格には反映されていません。人手不足や高齢化も加速しているのが現状です。
6次産業化にしても、むやみに効率化、機械化を進めるのは危険です。例えば饅頭を作る機械を導入した場合、機械が饅頭を作れば作るほど、その前後の人は作業が大変になってみんな辞めてしまう、といった事もおきかねません。また最初から大手のブランドのような完成度を求めるのも違うと思います。流れを読み、優先順位を見極めて、農家さんがやれることから一段一段登っていってください。6次産業化を成功させるためには、先ほどの厳しい農業環境を踏まえて、まずは農業でしっかり儲かる事が最善で大前提です。家族で助け合いながら農業を継続し、生産者を他の大規模な加工業者と一緒にすることなく、衛生的では決してない環境の農業から衛生的で絶対ならなくてはいけない食品加工への環境の転換が最も大変であることを理解したサポートが必要です。
6次産業化をするにあたっては、自分の農業についてきちんと把握する必要もあります。採れた青果品のABCDEランクの等級構成比率をつけて、例えばEの商品で加工品を作ったとして、加工品がもし売れた場合、結局Eでは原料不足となりB~Dの商品を使うようになったりします。また、出荷できるまでに必要な工程は何十項目もあります。こういった工程を真剣にクリアすると本当にクタクタになります。6次産業化をやる時は特に女性が大変苦労します。旦那さんと一緒に農業をし、農作業後に加工、そして家事、子育ても全てやることになるからです。ご主人とお互いが分かってサポートしながら、女性の気持ちを理解して6次産業を進めていって欲しいと願います。

販売について考える

これから自分の商品の販売チャネルを考えるにあたって、まず目指す販売先の客層、客単価、一品単価を意識することが必要です。ここで一番大事なのは平均一品単価です。一つの店で4品、2,000円分購入したとすると、その店の平均一品単価は500円です。自分が売りたいと思っている販売先の平均一品単価がどれぐらいなのかを考えて開発して下さい。そして「どこで売るか」ももちろん重要です。百貨店なのか、AGRI COLLETTOなのか、直売所なのか、自分の目指すものとかけ離れてないかどうかもしっかり考えましょう。初期値付けは非常に重要で、最初にあまり安くつけすぎたら中々上げることは厳しいです。
あとは、新商品のテストマーケティングについてです。まず新商品をメディア等で発表したタイミングで販売する時、新商品を見て買いに来る顧客は新商品に興味や関心が高い人達です。ものにもよりますが、試食をしない方がよいものも少なくないです。試食する事で味やテイストが分かり味を知ってしまうため、購入に至りにくくなるものもあります。試食なしでも新聞掲載やTVPRが入っていればまず足を運んでくれる確率は高いです。新商品を発売したが、思った以上に売れない場合もあると思います。新商品と記載して売れが鈍い場合は、価値と価格のバランスが悪く、顧客が魅力を感じていない、と思ったほうがよいのではないでしょうか。本当に美味しくて自信作の場合は、価格はそのままで試食、宣伝販売を実施すればよく売れる、もしくは本日限定でお試し価格で販売してみて下さい。それでも思ったような結果にならない場合もありますね。新商品を販売する時は事前に慎重な計画を練って販売しましょう。
製品ライフサイクルでは、商品を作ったら導入期→成長期→成熟期というふうに進むことを示しています。これは時間に比例するのですが、高知県の場合は流行りものが好きなのですごく短くなります。なので、試食や宣伝は本来導入期で入れるのですが、この成熟期から落ちる時に、試食や宣伝をした方がもう一度回復しやすくなります。自分で商品を販売する場合は、成長期、成熟期など、現状を把握し、更に言えば、愛媛県のサイクルの早さ等、どんな県民性かを知った上で販売を実施した方が良いと思います。 また、並べる時のディスプレイですが、①「何も考えずに並べる」、②「ルールに沿った陳列」、③「ディスプレイと言えるような陳列」では全く違ったものになります。③のディスプレイをすると、売り場に奥行きが出て興味が湧き、手に取りたくなります。商品の賞味期限なども古いものから売れるよう工夫しながら陳列します。ここで、色相を意識して並べてみると、さらに1ランク上のディスプレイになります。色の勉強は本当に役に立ち、私はパッケージデザインをする時には、タバコの箱の色味等を参考にしたりします。

販売の更なる工夫

次に買ってもらいたいターゲットによって商品名を考えます。まず地元民に向けて販売する時は、農場の地名等が入った名前を付ければわかりやすいです。ただ、地元に来た県外の方に認知されるには、高知県の場合だと龍馬とか四万十、土佐などを名前に付けると県外の方は買いやすくなります。
続いては、クロスMD(マーチャンダイニング)で「希少品」から、「差別化された人気商品」となった事例です。高知県で高知伝統のぬたという、ブリにつける葉ニンニク味噌という商品があります。これが「無添加ぬた」という名前でメディアに出てよく売れました。ただ、この商品が冷凍だったので、540円の商品に箱代をつけて購入、発送する方は中々いませんでした。そこで「かつおに合う葉ニンニクぬた」という名前に変えると、鰹のたたきとセットで購入し、冷凍発送する方が急増しました。その後この商品はうまいもの大賞を受賞。大賞を「見える化」して今さらに売れています。店頭でも鰹とブリの間にこの商品を挟み込んで販売すると、ブリも鰹もぬたも全てが売れ、単価アップに繋がりました。
そもそも加工品には旬や鮮度があります。青果品の旬の時期に加工品を同時に販売する強みになりますし、加工品も出来立て等の鮮度が良いものの方が売れます。賞味期限も古いものは売れません。商品の色が変わった場合はすぐ撤去しないと他の商品が売れなくなります。季節感、トレンドに合わせることも大事です。SNSなどの情報スピードに合わせることも必要です。たまに黄ばんだり消えかけたラベルシールの商品を見かけますが絶対に売れません。表示シールも毎年の表示の見直しは大事だと思います。あとは什器等商品を置く棚も、ひな壇で置くのかフラットに置くのかでも全く違います。もちろん販売スタッフも重要で、人が疲れ果てて売っていたら、その商品まで鮮度がないように思えます。手に取ってもらいやすいよう、商品に想いを込めて並べて下さい。例えば並べ方も、この2つの売り場を見比べて下さい。左側は綺麗に並べていますが、整然と綺麗に並べただけでは物は売れません。綺麗すぎると手に取った時に元に戻すのが億劫になるため、なかなか手に取ってもらえなくなります。なので、わざと右側のようにランダムに置くことで、商品は売れ出します。売り場を見て売れてる感のあるものの方が手に取りやすいので、わざとこんなふうに何箇所か動かして置いているものもあります。あとよく何個納品しましょうと皆さん聞いてきますが、実際1箱20個で発送したら、店頭ではどんな並び方になるのか、自分で何回も試してみて下さい。商品の幅が狭いのに大きなPOPを持ってくる人もいますが、商品にそれなりに合わせたPOPを持ってきて欲しいと思います。
たとえばPOPも、自分がリンゴを売る時、この「サン富士りんご」の文字が一番売れます。ただ、売れないスーパーはサンフジしか書かず、普通のスーパーは「サン富士リンゴ」と書いてあります。それでも「サン富士りんご」の書き方が一番売れます。ホウレンソウも「ほうれん草」、キューリも「きゅうり」が一番売れると感じます。どの字を書いたら一番物が売れるかというのを考えて商品名をつけてください。想いを込めて、自分のせっかく作った商品ですから。

生産者を応援したい

試食宣伝販売についてですが、まず試食販売に行く場合は、販売する場所の外部環境の簡単な調査をしましょう。あとは費用対効果を考えて、これぐらい売らなかったら私は行く意味がないというのを踏まえておきましょう。また、条件に応じて販売目標を考えます。商品を陳列した際どんな売り場になるかも思い描いておきましょう。売り上げを確実に上げるためにも、計画をしてきっちり製造しておきます。また、販売の際に余った場合と不足の場合の下準備も必要です。商品が余った時、商品をお店に置いて帰るのか、自分が持ち帰るのか、不足の場合、どうやってお詫びをするのかは一番大事です。品切れの際は品切れの「見える化」を必ずして下さい。これは、例えば1,000個持ってきて、2時間で完売したとします。「私は本日入荷の1,000個を販売いたしました」と書いておくと、お客様は諦めてくれ、文句も言いません。次はこの商品を絶対買おうという気持ちを持ったまま帰ってくれます。品切れの「見える化」は次に繋がります。または、高単価の商品の場合は予約を取って下さい。これで商品がなくても売り上げを伸ばすことができます。
また、人はハレの日には「知っている」安心を買い、ケの日の時間とお金がある日に「知らない」を買う、という法則があります。ハレの日とは、華やかな記念日だったり、という日ですが、実はゴールデンウィークに新商品を急に並べられたら新商品はなかなかお客様は買いません。それはなぜか、味を知らなくて安心がないからです。
だから、ハレの日には普段から知っている特別なものを売るというのが鉄則です。反対にケの日は普通の日の事です。普通の時間のある日に、知らないものをゆっくり知って買ってもらうのが一番です。連休の前に慌てて商品を納品するのではなく、普通の日からスタートして普段から見ていただき、繁忙期に売る!というやり方が一番いいと思います。その他にも、「安売り」や「割安」ではなく「割安感」のある値付けをしましょう。全体的に安く感じる、値ごろ感と量ごろ感が一致した商品が「割安感」で一番売れます。作ったご自身が値ごろ感がないと思う商品は売りづらいと思います。
商品にABCのランク付けをして、売れてる商品をAだとすると、AGRI COLLETTOでは、現在Cランクの商品を一番多く置いています。実際、Aランクを置いたら売り上げは上がります。それはなぜかというと、どこかでCランクで爆発する人もいるだろうし、皆に知られてないだけのことだと思い、小規模事業者の方達を応援しているからです。それと、インボイス制度が始まって手数料を5%とか上げられている事業者さんがたくさんいると思います。ただ、当店では、まだ認知・完成されていない事業者さんに対して手数料を上げることはせず、集落活動センターと6次産業化のコーナーだけは手数料を5%下げています。下げることで応援し、ヒットし安定した後に上げて欲しいとお願いしています。製造者、販売者を一人でも多くしたいと思い試行錯誤をしている最中です。これからもAGRI COLLETTOはFace to Faceを超えたサポート、Hip to Hip、お尻とお尻を当てながら、皆様と横並びで一緒にサポートをし続けていきます。

本事業の詳細についてはこちらをご覧ください。

令和7年度地域資源活用・地域連携(6次産業化)人材育成研修

受講生募集

6次産業化に関心のある皆様のご参加をお待ちしております! ぜひお知り合いの方にもお声がけください。

締切 各研修開催の3日前まで
定員 各回20名程度(オンライン配信あり)
会場 テクノプラザ愛媛 研修室(松山市久米窪田町337-1)
主催 愛媛県農林水産部農政企画局農政課
対象 県内農林漁業者・地域資源を活用した商品開発等に関わる方

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株式会社 産直新聞社 四国事業部(愛媛県西条市) 担当:越智 携帯:080-8436-3830 Email:ehimekenrokujika@gmail.com (本社)株式会社 産直新聞社 〒396-0023 長野県伊那市山寺2514-17 (編集室) 〒396-0025 長野県伊那市荒井3428番地7 alllaオフィスC TEL:0265-96-0938 / FAX:0265-96-0939