地域資源を活用し、新しい6次産業化を目指す。 スキルアップを目指し、実践者から学ぶ。
目次
- 相場に左右されない、自分達の農業の形を目指して
- がむしゃらに駆け抜けた6次産業化の商品づくり
- テーマを決める、折れない心を持つ
- SNSを活用した農業経営
- SNSとの向き合い方
山﨑 麻利沙氏、山﨑 智也氏(山﨑生姜農園(高知県四万十市))
相場に左右されない、自分達の農業の形を目指して
高知県四万十市で新生姜の施設栽培と6次産業化をしています、山﨑生姜農園の山﨑麻利沙です。夫が高知県の四万十市の出身で、生姜農家を一から立ち上げ、2025年より認定農業者になりました。私は結婚を機に愛知県から高知県四万十市へ来まして、加工品の製造や販売、商談会の出店、受注発送、事務作業などを主に担当しております。従業員は11人、平均年齢は37歳で農業界ではかなり若手かと思います。2020年の10月、本当に何もない田んぼの中、新設施設30aからスタートし、現在生姜ハウスが80a、2024年から年間雇用の為チンゲン菜を15a栽培しています。
6次産業化に挑戦したきっかけですが、独立の1年目は新型コロナの拡大により、流通の停滞と単価の下落など本当に課題が山積みでした。また、そもそも自分で作った野菜を人に値段を決められることにものすごく疑問がありました。そこで、相場に左右されない農業を目指し、就農1年目からSNS(Instagram)を立ち上げ、自分たちで販路を築いていくという取り組みを始めました。ただ新生姜は8ヶ月もオフシーズンがあるので、年間を通して収入を得るためにも加工品を作ってみることにしました。やり始めの頃は本当に訳が分からないことだらけでした。6次産業化とは、「加工や販売まで手がけることで新たな付加価値を創出する取り組み」と言われています。この「付加価値」についても、視点を変えて見てみることで見えてくるかもしれないと、わからないながらも考えました。例えば愛知県出身の私には、四万十市の川で鮎やうなぎが普通に泳いでいたり、蛍がわんさかいることも当たり前ではありません。今作っている加工品なども全て10畳足らずの加工場で私が手作りしています。これもまた、付加価値を感じてもらえる1つになるかもしれません。
がむしゃらに駆け抜けた6次産業化の商品づくり
6次産業化の道のりは、生姜を包丁で手切りし干しかごで干す、ネットを検索しながら乾燥生姜を作る等、とにかくできることから始まりました。機械も買えない、何ができるかも分からない中で、食品衛生の資格だけは取りに行きました。そんなこんなで完成したのが生姜パウダーです。まずは近隣の道の駅さんに聞いてみたところ、「この見た目では売れない」と言われ、すぐにパッケージを変更しました。変更したものは販売できるとのお返事だったので、売れることが分かってから保健所で許可を取り、さらにまだ売ってもいないのに、10畳ほどの加工場を建てることにしました(笑)。どうせ建てるなら商品展開をしようと思い、色々な商品も徐々に増やしていきました。
まずはスパイス4種類と紅茶2種類を売り出しました。その中でも紅生姜塩とニンニク紅生姜塩は渾身の作品で、「これは非常に手応えがあるのでは」と感じ販売を開始しました。その後に生姜ジャムなどもでき、これらを色々な道の駅に置いてもらいました。ただ、おすすめの紅生姜塩、ニンニク紅生姜塩が全く売れず、パウダー、紅茶、ジャムの方がパラパラ売れました。なぜ売れないのか?その時の私にはわかりませんでした。当時大小関わらず色々なイベントに出店していく中で、ドリンクがよく売れているのを見て、やっとここでシロップを作ります。一番ありそうな生姜シロップがなぜ一番最後になったのか。それは「すでに世の中に多くある商品は作ってはいけない」と、私自身が思い込んでいたからです。差別化というのはこの世にないものを作り出すことだというふうに勝手に思い込んでいたのです。数あるものの中で差別化をして、少しずつ実績を作っていって、知名度が上がった後で珍しいものを売り出すべきだった、ということに気づかされました。
このシロップの登場で少しずつ変化をしていきます。結果としてシロップが一番人気商品になりました。商談会では、ジャムとシロップを同時に売り出すようにしていきました。「これがうちの一押し商品です!」、というふうにしただけで、少し興味を持ってもらえるようになりました。ある時、個別商談でバイヤーさんから「もう少しパッケージを変えてほしい」と言われます。その時の私は仕事量がパンパンでデザインを変更する時間なんてありませんでした。そこで、「もうあなたは忙しすぎるから、パッケージは違う人に任せた方がいい。片手間にやれば片手間の商品になる。もしもあなたが自分の仕事にもっと邁進できれば、きっとこの商品はもっと売れる」と、アドバイスをもらいました。すぐにデザイナーさんに依頼して、一緒に何十時間も打ち合わせをして今の商品に生まれ変わりました。 デザイン変更後、催事出店では変更前に比べると売り上げが約4倍に伸びました。高級感のあるパッケージを意識した結果、お客様の反応も違うので「どこで誰に売るか」というのがこの催事出店で顕著に現れました。
テーマを決める、折れない心を持つ
6次産業化はとにかく絶対にできることから始めてください。小ロットからでもいいですし、本当にできることから始める、絶対に無理をしないことが大事だと思います。マルシェなども幅広く参加して、商品が出来あがったらとにかく販売をします。出口がないことには商品も作れませんし、出店販売は知ってもらうための大きな投資です。出店すると、沢山の人にも出会えます。販売者同士の横の繋がりは強力で、情報収集や意見交換、販路開拓、商品のコラボなどにも繋がりました。商談会に参加する場合、大手の店舗などに惹かれるかもしれませんが、自分の商品はどこに向けて売られているものなのかを理解した上での参加をおすすめします。また、大手の業者さんに必ず言われるのが、「そういう商品はすでにある」です。だからこそ自分の商品がどう違って、どういいのかということをきちんと説明できることが重要です。バイヤーさんたちが見ている、FCPシートの内容にも繋がってくると思います。
あとは、本当に誰に何を言われても折れない心が重要です。色んな人に相談すると、色々なことを言われます。でも、自分がこういうものを作りたい、というテーマを必ず持ってください。色んな人に何を言われても、それが自分にとって当てはまると思う事だけ収集し、「自分の商品を売りたい、有名になりたい」という熱く燃える魂、揺るぎない心を持ってブレない芯でやっていきましょう。ただ最終的には、とにかく楽しむ事が一番大事です。なんにせよ楽しくないと絶対に続かないので、ぜひ楽しんでください。ポストカードやメッセージシートを新生姜や加工品をお買い上げになって頂いたお客様に付けたりもしています。そこでも想いを伝えるために手書きを意識しています。実際は手書き印刷ではあっても、お客様からこの手書きに心を打たれた、とおっしゃって頂くこともありました。
SNSを活用した農業経営
山﨑生姜農園代表、山﨑智也です。まず私が、なぜ農業を始めたかという経緯についてですが、将来仕事に本気で打ち込むなら生まれ育った地元で仕事をしたいという思いが22歳頃に芽生え、そこから思い切って就職をせずブロッコリー農家さんへアルバイトすることから始めました。両親にも反対されましたが、約2年アルバイトを転々とします。これから30~40年作り続けたい作物が決まらない時にハウスの新生姜の農家さんと出会います。そこで初めて生姜の大きさ、美しさに感動し栽培していくことを決めました。さらに地元を発展させていくためにも、自分が地元の農業を盛り上げることを心に決めて、SNSを活用した農業経営に踏み切っていきます。
自分の考えるSNSの目的は、まず農業者同士の繋がりを持つことでした。私の地域は農業の生産者の数もどんどん減り、特に自分達世代の農家さんが少ないこともあって、若手農家さんと繋がりたいと考えました。また、自分の考える農業の魅力を、様々な方に興味を持ってもらいたいことも目的の一つでした。あとは新規就農者を増やすことも目指しました。後継者不足は皆さんも悩んでいることと思います。地元に残ってもらう人や地域を盛り上げてくれる仲間を増やすためにも、自分が一生懸命勉強して世話をした生姜の魅力の宣伝や、今後の農業人生における想いや今後のビジョンなどを、お客様にも同業の仲間にも知ってもらうことを目的にSNSを利用しています。
SNSとの向き合い方
SNSではECサイト、Instagramを主に活用しています。その中で全国、県内の若手農家さんと出会えたものが、SHIKI FARMERS CLUB、HOT高知farmersでした。SHIKI FARMERS CLUBについては、全国の農家さんやパティシエさん等がメンバーであり、協力して商品開発やイベント、情報交換をする等自分の経営にもプラスになっています。HOT高知farmersは自分が元々立ち上げの代表をしていたのですが、高知県内で農業を営んでいる若手の農家さんで結成されている団体です。高知県の農業の魅力を発信し、熱量の高い仲間を集めて情報共有をしています。現在は高知県の担い手支援課による県の事業となり、SNS運用などで協力しています。
SNSの中で特に私は動画に力を入れました。自分が普段見ている景色の中で、すごくいい景色や作物自体の美しさに出会えたりします。そういったものを動画として見てもらうことで、自分達の農作物や農業自体の評価をしてもらいやすいと考え、動画に力を入れ始めました。動画は撮り貯めをして空いた時間に編集をしています。その中で、音楽一つで動画の雰囲気がすごく変わるということに気づき始めました。ここで、音源だけを変えた二種類の同じ動画を見てもらいます。少し悲しげな、感動的な感じの音楽とポップな感じの音楽。聞き比べてみてどうでしょうか?音楽を一つ変えるだけで他は全て同じでも全然違った雰囲気になります。Instagramではストーリーズが一番見られるので、3日に1回はしっかりあげ、重要な情報もあげるように心がけています。また、SNSをきっかけにメディアや雑誌の方からも取材の依頼が来るようになりました。去年はTBSのサスケに出場させて頂き、子供達に声をかけられる等、地元の若者達にも効果がありました。生姜の魅力や農業に対する想いを多くの方に伝えるきっかけをいただいており、外に露出していくことの大切さを日々感じています。
あくまで自分の考えるSNSの秘訣ですが、まずは目的意識をしっかり持つことです。誰に伝えたいのか、それによっては投稿の内容は変わってきます。消費者なのか、同業者なのか?それとも技術的な部分のシェアなのか。私の動画の中でファンの方の反応が一番高かったものは、「生姜ってどうやってできるの?」という動画でした。こういった高再生数の動画をヒントにしながら優先的に撮影をしていくことで、現在では11,000人の方にフォローして頂くほどになりました。もう一つ重要なことは無理をしない事です。あくまでメインは農業です。良いものを作ってお客様に届ける、それを自分は一番、二番目にSNSというところを始める前から決めていました。ぜひホームページやInstagramを覗いていただけると嬉しいです。
本事業の詳細についてはこちらをご覧ください。
受講生募集
6次産業化に関心のある皆様のご参加をお待ちしております! ぜひお知り合いの方にもお声がけください。
| 締切 | 各研修開催の3日前まで |
|---|---|
| 定員 | 各回20名程度(オンライン配信あり) |
| 会場 | テクノプラザ愛媛 研修室(松山市久米窪田町337-1) |
| 主催 | 愛媛県農林水産部農政企画局農政課 |
| 対象 | 県内農林漁業者・地域資源を活用した商品開発等に関わる方 |
お問い合わせ
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