農産物生産後の販売方法、選択の仕方、ふるさと納税や商談について【愛媛県令和7年度 地域資源活用・地域連携(6次産業化)人材育成研修】

地域資源を活用し、新しい6次産業化を目指す。 スキルアップを目指し、実践者から学ぶ。

目次
  • 電子食品流通研究所のミッション
  • ネット販売の種類と使い分け
  • 人とつながるさまざまな販売方法
  • 「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である」

樋口 剛志氏((株)電子食品流通研究所 代表取締役、愛媛県砥部町)

電子食品流通研究所のミッション

まずは私の自己紹介ですが、約10年前に病気になったことをきっかけに食を見直し、父の自然食品の販売や有機農業を引き継ぐため、愛媛に戻ってきました。会社名にある「電子」とは、簡単に言うとマイナスイオンという意味合いです。炭の持つ効能を活かして環境を整え、農作物や加工食品を作る取り組みを、私の父たちが50年以上前に砥部町で始めました。 現在栽培している農産物は、温州みかん、愛果28号、甘平、不知火、レモンなどが約7反、キウイフルーツが約2反です。そのほか、お米や七折小梅も作っています。すべて農薬・化学肥料・除草剤を使用せず一人で管理しています。

モノが溢れているこの時代では、ただ当たり前に商品を並べても買ってもらえません。どんな人が、どんな想いで作っているのかにお客様は共感し、「この人から買ってみたい」と思います。つまり、差別化をどれだけ図れるかが重要です。会社のミッションとして「電食で、美味しく、健康に」を掲げています。美味しく、健康につながる食べ物を提供し続けることで、世界中の人々の心と体を健康にし、毎日、そして人生を豊かにしていく。この言葉は、壁にぶつかったときや迷ったときに立ち戻る指針にもなっています。
また、「とにかく行動」「継続すること」「ゲーム感覚を持つ」の3つを会社のバリューとしています。このスピードの速い時代の中で一歩先へ進むためには、まずすぐに行動すること。そして、やると決めたら続けることが大切です。継続は信頼につながります。大変な中でも楽しみを見つける、それが「ゲーム感覚を持つ」ということです。商品を選択する際は、以下の4つをポイントにしています。①農薬・化学肥料・除草剤不使用、②電子技法による品質向上、③地域性・ストーリー性、④ギフト/家庭用区分 です。当社は自然食品の会社であるため、無添加・無農薬の商品が多く、自身も有機農業に取り組んでいます。ただの有機栽培にとどまらず、電子技法のように他との差別化を図れる要素があると、お客様に選んでいただける強みになります。また「地域性・ストーリー性」も重要です。先人たちが築いてきた「愛媛のみかん」というブランドは大きな価値があります。さらに、自身の生い立ちや会社の背景、生産方法などを商品と結びつけることで、より魅力が伝わります。家庭用とギフトの区分も大切です。A品は販売しやすいですが、必ずB品・C品も出てきます。本来お金にならないものをいかに価値に変えるかを常に考えています。

ネット販売の種類と使い分け

販売方法として、まずは自社のオンラインショップがあります。BASEなどを使えば、無料で始められ、売れたときだけ手数料が発生する仕組みです。商品説明についても、現在はAIを活用することで効率的に作成できます。ただし利用者が非常に多いため、自分の商品を見つけてもらうにはSNSや広告の活用が重要になります。私自身も昨年末からGoogle広告を活用しています。広告費はかかりますが、それ以上のリターンがあり、試す価値は十分にあると感じています。次に「食べチョク」です。初期費用や月額使用料はかかりませんが、販売手数料が約20%かかります。産直系ECサイトの大手であり、細かな設定が可能です。ヤマト運輸と連携した発送システムもあり、効率的に運用できます。口コミ対応も重要ですが、現在はAIが返信案を作成してくれるため、負担は軽減されています。返信率や発送スピードは評価にも影響します。同様に「ポケットマルシェ」もありますが、手数料は約23%とやや高めです。そのため価格設定も高めにしている出品者が多い印象です。両者は状況に応じて使い分けるのがおすすめです。
ネット販売では商品名の工夫も重要です。例えばキウイフルーツであれば「キウイ好きの方集まれ!」、「小ぶりキウイちゃん」などと表現します。また、「ふぞろいのこまどんなたち」として愛果28号のB品を販売しました。B品・C品については、変形や傷のある部分も含めて正直に写真を掲載しています。最初は半信半疑でしたが、「小さくて食べやすい」「切りやすい」といった声が多く、価格を通常よりお手頃にしていることもあり非常によく売れています。ネーミングも一つの工夫です。多少のリスクはあっても、自分なりに楽しみながら取り組むことが大切だと思います。

人とつながるさまざまな販売方法

次に、ふるさと納税です。初期費用・月額使用料・販売手数料がかからず、価格も自分で設定できます。ページ作成もAIを活用すればスムーズです。自治体によっては写真撮影や加工をサポートしてくれる場合もあります。通年販売できる商品であれば、安定した収益源になります。続いて加工品の卸販売です。B品・C品のロスをどう活用するかは事業の鍵になります。約6年前、柑橘加工業者様とのご縁がありました。当初は量が足りず、近隣農家様にお声掛けしたところ多くの農家様がB品・C品を廃棄していたことを知りました。しかし、加工業者様が適正な価格で買い取ってくれたため、ビジネスとして成立しました。このように加工品への展開は有効な選択肢です。営業については、飛び込み営業はあまり成果が出ませんでした。紹介や人とのつながりを通じて取引を広げるほうが、結果的に確実だと感じています。マルシェへの出店も行っていますが、コンセプトによって売上は大きく変わります。事前の下見は重要です。徳島県のオーガニックイベントでは、日本野菜ソムリエ協会の理事長様との出会い、そこから横浜の取引先様につながり、現在も8年間取引が続いています。 SNSについては、ほぼ毎日Instagramを更新しています。農作業だけでなく日常の発信も含めて人柄が伝わり、ファンづくりにつながります。反応に一喜一憂せず、継続することが重要です。

「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である」

最後にまとめです。1つ目は「閑散期をいかに乗り切るか」です。柑橘農家にとって春夏の収益確保は重要な課題です。2つ目は「商品は自分のものだけではない」という視点です。例えば横浜の取引先様に、高知県の「アンテナスイカ」を紹介しました。ご訪問した際、その場にあった約70玉をすべて買い取り、その後も5年間取引が続いています。3つ目は「人とのつながりを大切にすること」です。高級な国産アボカドの販売実績を積み上げたことで生産者様との信頼関係が深まり、全量納品いただけるようになった事で現在の収益源になっています。
最後に、皆様へ贈る言葉です。“Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot” 「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である」これは喜劇王チャールズ・チャップリンの言葉とされています。一歩踏み出して失敗することもあると思います。しかし、それを笑いに変えて前に進めるかどうかが大切です。農業は大変なことも多いですが、ぜひ楽しみながら取り組んでいただければと思います。

本事業の詳細についてはこちらをご覧ください。

令和7年度地域資源活用・地域連携(6次産業化)人材育成研修

受講生募集

6次産業化に関心のある皆様のご参加をお待ちしております! ぜひお知り合いの方にもお声がけください。

締切 各研修開催の3日前まで
定員 各回20名程度(オンライン配信あり)
会場 テクノプラザ愛媛 研修室(松山市久米窪田町337-1)
主催 愛媛県農林水産部農政企画局農政課
対象 県内農林漁業者・地域資源を活用した商品開発等に関わる方

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