農地を持たない非農家でも、気軽に“農ある暮らし”を楽しみ、食や農への理解を深めることができる「体験農園」――。その多くは、農家が少ない東京や大阪、名古屋、福岡といった大都市圏で運営されており、地方の中山間地では比較的少ないと言われている。
しかし、中山間地にある体験農園は、地域づくりでの様々な可能性を秘めている。例えば、耕作放棄地の活用や、農家の収入の安定化、都市住民との関係人口づくり、さらに移住・定住や新規就農に繋がっている事例もある。
今号では中山間地に立地する体験農園を「“農村型”体験農園」と呼び、それがどのように運営され、どのように地域づくりに貢献しているのか、また、課題や今後の展望について、有識者へのインタビューや全国の事例を通じて探る。
特集 “農村型”体験農園 その可能性を探る。
08 インタビュー 和歌山大学 名誉教授/追手門学院大学 教授 藤田武弘
農村型体験農園のここを教えて!
08 インタビュー NPO法人 全国農業体験農園協会 理事長 加藤義松
米問題で食への関心が高まる今こそ、体験農園を訴求する好機
12 Case1信州いいづなりんご学校〈長野県飯綱町〉
りんごを通じた体験で“第二のふるさと”づくりを
16 Case2 東近江市あいとうマーガレットステーション(滋賀県東近江市)
直売所で支える農家と市民の交流
18 Case3 ものずき村「農作業シェアリング」(新潟県魚沼市)
首都圏からも多くの人がわざわざ通う関係人口づくりの挑戦
20 Case4 大吉村(佐賀県有田町)
600人超の“村人”と目指す日本一楽しい農コミュニティ
20 Case5 丸五ファーム(群馬県横田市)
文化や自然も〝学べる場〟へ元教員が挑む地域づくり
22 寄稿 体験農園の現場から
長谷さんさん農園(長野県伊那市)園主 羽場友理枝
26 論考 山間部農村集落の未来を紡ぐ、農ある暮らしの共創空間
30 全国直売所、自慢の一品
地元の食材たっぷりの朝ごはん 道の駅 「花の駅 千曲川」café里わ (長野県飯山町)
32 店長・スタッフ必読!直売所読本 第12回
出荷生産者と運営者との“深く”て“濃い”関係
34 土を育てる vol.51
“値打ち感”のある最高の商品を安定して作りつづけるために
38 見習い新人の直売所訪問レポート 「隣の芝生が青すぎる!」
JAあぐりタウン「げんきの郷」 農産物直売所「はなまる市」(愛知県大府市)
40 「あいきびと通信」 —若者による新たな地域づくりの挑戦—
遊びでも、ボランティアでも、仕事でもない新しい地域づくりを目指して
42 トウガラシ博士が行く! 地域野菜あまから訪問記 信州大学 松島憲一
ワインチャーとアガヤー、中城村の島ダイコン
44 学校給食と地産地消 第23回 学校給食地産地消食育コーディネーター 杉木悦子
地場産食材の供給システムを学校給食でつくる
48 新・農業経済 第20回 千葉大学大学院 園芸研究員教授 櫻井清一
食料の合理的な価格形成をめぐって
50 LFPの現場から
商品開発で終わらないために… 事業者連携で食事会、一般へ周知
53 地産地消の人々~行動する直売所。それを率いる人々 全国農産物直売所ネットワーク 森岡亜紀
1%の声を伝える6次産業の力
54 次号予告 編集後記
