クラウドファンディングで魅力を発信!ファンと共に歩みチャレンジし続ける秘訣とは【愛媛県令和7年度 地域資源活用・地域連携(6次産業化)人材育成研修】

地域資源を活用し、新しい6次産業化を目指す。 スキルアップを目指し、実践者から学ぶ。

目次
  • 順風満帆とはいかない独立就農後
  • クラウドファンディングに挑戦!
  • 新しい農業支援でのクラウドファンディング
  • 「農業を楽しむこと」で広がった繋がり

深山のキウイ(香川県善通寺市) 山田 唯可

順風満帆とはいかない独立就農後

 深山のキウイは、香川県の善通寺市で私と深井という二人で共同経営をしています。二人はそれぞれが独立した個人農家で、お互い協力しあって経営しています。私達は高校の同級生で、29歳の時に香川県に移住して地域おこし協力隊としてキウイの実習に入り、3年間研修させて頂きました。就農後は師匠の元について栽培をし、出来上がった青果は師匠に販売して頂くという形での独立スタートになりました。その後2020年に販売も独立しました。
 初めは完全に森のような耕作放棄地を開墾してキウイ畑に復活させました。今は約3.5ha程の面積でキウイを栽培しています。就農してから5年目ぐらいのやっと収穫できるようになる!という時期に、かいよう病という病気が蔓延し、泣く泣く3反程の面積を伐採し、予定していた収入もなくなりました。その2年後には集中豪雨により木が根腐れを起こして枯れていき、その翌年以降も含め3、4反ぐらいはほぼ全滅のような状態になりました。稼ぎたいと思ってスタートした農業なのですが、就農して5~10年ぐらいまではずっと赤字でした。植えては枯れを繰り返すので非常に辛かった時期があります。その時に単価を上げるしかないと考えて、販売も独立させてもらうことになりました。
 香川県には個性豊かなキウイの品種が沢山あり、販売が素人の私達でもキウイの個性をいかせば販売できるんじゃないか、収量の少ない現在のこの逆境を逆手に取れば、自分達でも売りきれるかもしれない、と考えました。そこで農協が扱っている品種は農協に販売してもらい、農協が扱ってない品種は自分たちで販売するという、2つの車輪でスタートしました。お金を稼ぐことを一旦置いておいて、自分達が作ったものを自分達で売る事と、キウイを通じて楽しいことをしていこうという方向へ切り替えることにしました。

クラウドファンディングに挑戦!

 そこで「農業を楽しむ」「キウイを通して人と繋がる」というコンセプトを軸にしてやっていくことにしました。様々な直販の方法の1つとして、クラウドファンディングを選択しました。メリットとして、①少額でも資金が集められる、②想いやストーリーに共感して買ってもらえる、③宣伝、ブランド・ファン作りにも繋がる、等があります。私達の扱っているキウイの品種は認知度が低く、説明をして売らないといけない。それにはクラウドファンディングを使えば、伝わるんじゃないかと思いました。CAMPFIREとMakuakeを利用しており、forGood!はこれから利用する所です。
 Makuakeは、新しいもの、これから開発しているガジェットや衣料品などが多く、CAMPFIREはプロジェクト系が多いイメージです。私達は最初珍しいキウイを売ろうと思ったので、新しいものを売るという意味でMakuakeを選びました。私達が一番推したいと考えたのは「さぬきキウイっこ」というキウイです。このキウイは店頭に並べても、小さい出来損ないのキウイと思われてしまいます。さらにこのさぬきキウイっこの中に、何万個に1個ぐらいの割合で大きなキウイができます。それがとても中途半端なサイズで、逆に売りにくいため加工品扱いにされていました。ただ、そのキウイがむちゃくちゃ美味しいんです。これはきっと食べてもらったら、ファンになる方が多いはずだと思いました。ここに付加価値をつけて「大きいキウイっこ」として商品化できるのでは?と思い、これも掲載することにしました。実際に、この「さぬきキウイっこ」の食べやすさ、大ぶりのものができるという事、さらに私達が大阪から新規就農して辛かった事も共感してもらおうと説明しました。説明をしないと売れない商品っていうのは、クラウドファンディングはすごく合っているなと思います。
 去年は、132人の方にサポートして頂いて完売して終わりました。Makuakeは農産物に関しては、同じ商品でも何年でも募集できるので、2021年から毎年掲載しています。そうすると毎年買ってくれるリピーターの方も増えていきます。他の農家さんでは、ほぼ予約注文という形で利用している方もいます。Makuakeを利用している方は、継続して利用している方が多く、予約販売として利用するというのは良い利用の仕方だと思います。

新しい農業支援でのクラウドファンディング

 その次にCAMPFIREにも挑戦しました。ここで挑戦したのは、「パート主婦が農園主になれるキウイ農園、子育てしながら働きやすい場所を作り出す」、という内容です。うちで働いてくれているパートさんで片山さんという方がいらっしゃるんですが、彼女がキウイ農家になりたいと言った事が始まりでした。ただ、農地や資金の問題など、主婦の方が急に農家になるのは難しいことが多く、私達が農地を借りて、そこの管理を任せるという形にすれば、片山さんが望む農家の状態になるのではないかと思いました。更にこの考え方が全国に広まれば、主婦の方でも簡単に農業に携われるような、色々な働き方の提案ができるとも考えました。CAMPFIREでは、お金が欲しいというよりは、この仕組みを知ってもらいたいぐらいの気持ちでした。Makuakeではないプラットフォームに行くことで、自分達の宣伝にもなるだろうと敢えてCAMPFIREで挑戦しました。
 この挑戦の特徴としては、まず女性が一人で作れるような簡単で安価な棚の作り方をした事です。構造面では、釣り上げ式という仕立て方で作っています。すごく簡単な技術に変わるので、始めたばかりのパートさんでも簡単に剪定もでき、それなりの品質のキウイが作れるかも試しています。また、水田転換した平らな園地での栽培も実験しています。深山のキウイが農地と農業機械や資材などを全部用意して、片山さんは棚を自分で建て、栽培管理を行い、販売を自由にしてもらいます。
 この仕組みのメリットとしては、片山さん自身は初期投資がなく、栽培コストも払わずに自分のキウイ畑を持てるということ。私達としては、農業の楽しさを共有できる仲間が増え、管理面積も増やせられ、更に片山さん自身の栽培のレベルが上がり、剪定から管理、水やりなど、栽培者目線に変わりました。片山さんは、お客様にキウイ園に来てもらって、その体験料をもらって販売をしたい、と言います。全然違う視点を片山さんからは得られるので、こういった点でもとても良い取り組みだと思います。目標金額は達成しなかったのですが、棚の資材費用ぐらいにはなり、自分達だけで棚を建てることが出来ました。CAMPFIREでもMakuakeでもこのままの募集内容がネットに残ります。それが検索にヒットし、自分たちの事を読み込んで知ってくれる事で、信用にも繋がっていると感じます。
 今後さらに挑戦しようと思っているクラウドファンディングが、forGood!です。ここは支援する側が手数料を払うという仕組みのため、掲載する側の手数料が0円という珍しいクラウドファンディングです。社会課題を解決するなど、ソーシャルグッドなことをする事がforGood!のテーマです。ここではCAMPFIREで募集をした片山園をベースにして、単管パイプなどの安価な機材を使ったキウイ園を展開する事を1つのテーマに置いています。最近無償で譲り受けた約17aの耕作放棄地の田んぼを始め、これから中山間地の田んぼなどは耕作放棄されていくと思います。そういった所に米ではない、他の作物を作るためのモデルとして、片山園のような作り方を提案したいと考えています。耐水性の強い台木が出来たことも水田でのキウイ栽培の後押しになっています。今進めている予定地では、大体700万円弱ぐらいの費用がかかる予定です。このクラウドファンディングで少しでも資金が集まる事で、補助金やローンのプラスになればと思っています。Makuakeでは説明が必要な品種を説明して買ってもらい、CAMPFIREやforGood!では、活動を説明することで私達のファンになって頂いて、果実を買ってもらっています。「果実を買ってもらう」事をあくまで一番のテーマに置いて、クラウドファンディングを利用しています。

「農業を楽しむこと」で広がった繋がり

 その他にもキウイのソフトクリームのキッチンカーもやっています。これは暖かい時期だけ畑の中で販売していますが、これも果実の販売のための宣伝の1つだと思っています。キウイ畑があることを知ってもらって、11月からの果実の販売に足を運んでもらいます。直接のお客様との接点が強くなる事もありますし、パートさん達の年間の雇用にも繋がりました。費用でいうと、大体キウイアイスの売り上げで、経費がギリギリ支払えるぐらいの状態です。あとは、夏場のキウイがない時期に食べてもらえるものを目指して100%キウイの冷凍のピューレも作っています。キウイを薄く細かくスライスしてドライにした、ドライフルーツチップスのような商品やそれを砕いてパウダーにした、100%キウイのパウダーもあります。キッチンカーのメニューもこういった商品も全てパートさん達のアイデアです。
 キッチンカーのメリットは畑に来てもらう以外にも、色々な方が注目してくれるので声をかけて頂くことが多いことです。様々な方とコラボした商品も生まれています。キウイを使ったクラフトビールやクラフト日本酒。ハーブ農園さんが作った、皮ごとドライにしたドライキウイ、加工用に使えるパウダーや、チョコレートやケーキ等にも使って頂いています。農業を楽しもうとする人と繋がる姿勢があったからこそ、こういう風に様々な方と繋がる事ができたのかなと思います。
 現在深山邸と言って民泊もしています。民泊は2023年にスタートして、農業×民泊で色んなことにチャレンジしていこうということで始めました。作業場が欲しくて購入した民家の母屋を、パートさんが民泊にするというアイデアを下さったのがきっかけでした。この深山邸を使って交流会やワークショップなども開催し、完全に私や深井の手を離れてどんどん展開している状況です。
 「キウイの基」というキウイの話をするポッドキャストも発信しています。これは全国にキウイのことをもっと知ってもらって、食べてもらえるようになる事を目標にしてスタートしました。宣伝にもなりますし、東京でのポッドキャストのイベントに呼んで頂いて、果実の販売の売り上げにも繋がっています。毎年黒字になったり赤字になったりを繰り返しているので、農家としては正直全然成功してないのですが、農業を楽しめるようにはなってきました。とりあえずやりたかったことをやってみる、やったおかげで楽しく農業をできています。

本事業の詳細についてはこちらをご覧ください。

令和7年度地域資源活用・地域連携(6次産業化)人材育成研修

受講生募集

6次産業化に関心のある皆様のご参加をお待ちしております! ぜひお知り合いの方にもお声がけください。

締切 各研修開催の3日前まで
定員 各回20名程度(オンライン配信あり)
会場 テクノプラザ愛媛 研修室(松山市久米窪田町337-1)
主催 愛媛県農林水産部農政企画局農政課
対象 県内農林漁業者・地域資源を活用した商品開発等に関わる方

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