【LFP⁺ながの】第5回課題検討会 開催報告

目次

・LFP⁺ながの 課題検討会⑤を開催しました
・課題検討会⑤ 議事録

LFP⁺ながの 課題検討会⑤~アップサイクル&加工用作物の高付加価値化~を開催!

「アップサイクル&加工用作物の高付加価値化」をテーマに課題検討会を開催しました。
これまでLFP⁺ながので取り組んできた摘果リンゴや加工用リンゴ、栗のイガ、赤えんどう豆の殻、ソルガムなどの活用状況を共有するとともに、新たな用途や商品開発、販路形成について意見交換を行いました。
未利用資源を単に「廃棄物から商品へ」と転換するだけでなく、生産者所得の向上や地域産業の課題解決につなげる取り組みが進む一方、加工コストや販売価格、販路確保が課題となっていることも共有されました。今後は技術開発だけでなく、消費者ニーズや販売先を見据えた「マーケットイン」の視点からアップサイクルを捉え直す必要性について議論を深めました。

課題検討会 議事録

(発言者敬称略)

1.開会
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏

これまでLFPで進めてきたアップサイクルの取り組みを共有し、新たな商品開発や事業者連携につながるアイデアを出し合う場にしたいと説明。
摘果リンゴや加工用果実に加え、さまざまな未利用資源の活用可能性について議論を呼び掛けた。

2.あいさつ
【発言】長野県農政部 農産物マーケティング室 竪谷真一郎氏

アップサイクルはLFPと親和性の高いテーマであり、これまでの摘果リンゴなどの取り組みをさらに発展させたいと述べた。
また、食料システム法による国産原材料の活用や付加価値向上とも関連が深く、新たな商品開発や事業者間連携につながることに期待を示した。

3.ソルガム栽培の現状と出口づくり
【発言】遊休農地の再生とソルガム栽培普及に取組む連絡協議会 北澤隆雄氏

遊休農地の再生と後作としてのソルガム栽培普及を目的に、上田市やJA、環境団体などと連絡協議会を組織し、展示圃場などを活用して普及活動を進めていると報告。
栽培を継続していくためには、「作るだけではなく出口対策が不可欠」であり、本年度はLFPとの連携を通じて具体的な利用先や販売先をつくりたいと説明した。
一方、山際の圃場では発芽したソルガムが鹿に食害され、約10アールがほぼ全滅した事例を紹介。遊休農地の活用を進める上では、獣害対策も大きな課題になると指摘した。
事務局からは、ソルガムの茎や枝葉を食品以外の用途、例えば燃料などに活用できないかという相談も寄せられており、栽培団体や関係事業者との連携が始まっていることが紹介された。

4.摘果リンゴの活用と事業拡大
【発言】(株)マツザワ 森本康雄氏

摘果リンゴの食用利用について、JA南信州管内の松川町、豊丘村、飯田市で生産者向け集荷説明会を開催したと報告。
通常の摘果リンゴは農薬使用の関係から食用にできないが、独自の防除暦を作成し、それに沿って栽培することで食品原料として活用できる仕組みを構築している。
昨年度の集荷量は約80トン。本年度は新たに参加する生産者も増えており、120トンを目標に集荷を進めていると説明した。買い取りによる地域への還元額は約600万円を見込む。
これまでは自社菓子への利用が中心だったが、集荷量が安定してきたことから外部企業への原料供給も開始。ミツカンの「純リンゴ酢」の原料として、昨年度は約25トンの摘果リンゴを供給し、本年度も同等以上の需要が見込まれていると報告した。
摘果リンゴ特有の成分にも注目が集まっており、将来的にはその特徴を生かした新商品開発の可能性もあると説明。
「これまで捨てていたものがお金に変わる」仕組みをつくることで、生産者の所得向上につなげ、「儲かる農業」を地域からつくっていきたいと述べた。

意見交換① 摘果リンゴの収集・加工・循環利用

【発言】ゴールドパック(株) 池上忠氏
自社でもリンゴの搾汁加工を行っており、摘果リンゴを原料として扱うケースがあると紹介。未熟果は搾汁にも高い技術が必要であり、長野県での取り組みに関心を示した。
一方、農家にとって摘果したリンゴを地面に落とさず回収する作業は負担になることから、「どのように生産者に収集への協力を促しているのか」と質問した。

【発言】(株)マツザワ 森本康雄氏
生産者が摘果リンゴを回収するインセンティブとして、一般的な加工用リンゴより高い価格で買い取っていると説明。
通常、秋に発生する加工用リンゴが1kg当たり20~30円程度であるのに対し、摘果リンゴはサイズ等級に応じて1kg当たり50~70円程度で買い取っている。
農家によっては摘果リンゴだけで20~30万円程度の収入になり、リンゴの収入が少ない夏場の貴重な収入源になっていると述べた。
また、摘果リンゴはプレザーブ加工し、LFPから生まれたリンゴスティックパイ「果の山」の原料としても利用していると紹介した。

【発言】ゴールドパック(株) 池上忠氏
搾汁だけでなく、果肉を生かしたプレザーブへの活用も有効ではないかとコメント。
さらに、加工に向かない小さな果実や搾汁残さなどをバイオ炭として土に戻す可能性についても提案した。

【発言】(株)マツザワ 森本康雄氏
果汁搾汁後の残さやプレザーブ加工時に発生する皮・芯などについては、現在も堆肥化し農地へ還元していると説明。肥料価格が高騰した際には、生産者が積極的に持ち帰るなど、地域内循環としても有効に活用されていると報告した。

意見交換②加工用リンゴ「ブラムリー」の高付加価値化

【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
飯綱町で生産されている加工用リンゴ「ブラムリー」が供給過多になっているとの相談を受け、LFPのネットワークを通じた商品化を進めてきたと説明。
セブンイレブンではブラムリーを使用したアップルパイが商品化され、当初は飯綱町周辺を中心とした販売だったものが、その後、長野県内へ販売地域が広がったと紹介した。
加工用リンゴは栽培労力を軽減できる一方、需要とのバランスが崩れると農家経営に影響することから、新たな加工需要をつくることが生産者支援にもつながっていると説明した。

【発言】(株)マツザワ 森本康雄氏
LFPの取り組みから生まれた「果の山」でも、摘果リンゴだけでなく、供給過多となったブラムリーを買い取り、プレザーブ加工して原料として利用していると紹介。
「未利用のリンゴを生かす」という考え方を軸に、摘果リンゴだけでなく市場で余った加工用品種も商品へ転換していると述べた。

5.栗の鬼皮・赤えんどう豆の殻などの活用
【発言】里山里海イノベーション研究所 山本高久氏

小布施町では栗菓子産業から大量の栗の鬼皮などが発生し、その処理に多額の費用がかかっていることから、未利用資源として活用する取り組みを進めてきたと説明。
栗の鬼皮をきのこ培地として利用する実証や、栗菓子の原料となる赤えんどう豆の殻をきのこ培地に利用する実験を行い、特に赤えんどう豆の殻について良好な結果が得られ、実際の生産への利用が進んでいると報告した。
また、栗の鬼皮の燃焼特性に着目し、キャンプ用燃料などへの活用に向けた実験も進められていると紹介。
さらに、栗の副産物を豚の飼料として活用し、肉質や商品価値を高める取り組みや、栗の鬼皮を活用したアロマ・香製品など、食品以外の分野でも地域事業者による商品開発が広がっていると説明した。
栗加工時に発生する糖液についても廃棄処理に費用がかかっており、新たな利用方法の検討が進められていると報告した。
「廃棄物を加工食品だけに転換するのではなく、飼料、燃料、香りなど異なる用途から価値を見いだすことが重要」とする可能性が示された。

自由討論

【発言】(一社)信州産学みらい共創会 山田修氏
農産副産物やバイオマスの高付加価値化について、食品以外の工業用途から複数の事例を紹介した。
剪定枝やきのこ廃培地などのバイオマスについて、単純に炭化して土壌改良材として利用するだけでは採算が合いにくいことから、さらに高度な炭素材料へ加工し、コークス代替燃料として利用する研究開発を進めていると説明。
また、農業用マルチシートや食品工場で使用される手袋などの廃プラスチックを油化し、重油や灯油などの化石燃料の代替燃料として再利用するプロジェクトについても紹介した。
農産物関連では、南信州で干し柿加工時に年間数百トン規模で発生する柿皮について、機能性成分を抽出し、牛のメタン排出削減や健康維持に役立つ飼料・サプリメントとして活用する研究を進めてきたと説明。
ただし、いずれの取り組みでも最終的には加工コストが事業化の壁となっており、「技術的に可能であること」と「事業として成立すること」は別の問題であると指摘した。

【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
長野県では早い段階からLFPのテーマとしてアップサイクルに取り組み、さまざまな技術や商品が生まれてきた一方、近年は新たな課題も明確になっていると整理。
特に、機能性成分を抽出するなど高度な加工を行うほど製造コストが高くなり、販売価格とのバランスが取れず、商品化しても販路形成が難しいケースが増えていると指摘した。
そのため今後は、「廃棄物から何が作れるか」という技術起点だけではなく、

「誰が買うのか」
「どの程度の価格なら売れるのか」
「消費者や事業者がどのような価値を求めているのか」

という市場側から考える必要があると説明。
技術開発を先行させるのではなく、消費者ニーズや販路を把握した上で商品や用途を設計する「マーケットイン」の視点が、今後のアップサイクルを事業として持続させる重要なテーマになるとまとめた。

まとめ

今回の検討会では、摘果リンゴや加工用リンゴをはじめ、栗の鬼皮、赤えんどう豆の殻、ソルガムなど、多様な未利用資源の活用事例を共有しました。
一方、技術的には活用できても、加工コストが高く、販売につながらないケースも少なくありません。今後は「何が作れるか」だけでなく、「誰が買うのか」「どの価格なら売れるのか」を考えるマーケットインの視点が重要であることを確認しました。
LFP⁺ながのでは今後も、農業者、食品事業者、研究機関、流通・販売事業者などをつなぎ、地域資源の高付加価値化と新たな事業創出につなげていきます。
今後も月1回程度の課題検討会を継続開催し、商品開発と普及活動の両輪でプロジェクトを推進してまいります。

※次回は9月9日に「テーマ別課題検討会⑥」、10月20日に「テーマ別課題検討会⑦」を開催します。参加希望の方は、下記よりお申し込みください!

・参加申込(9月・10月分)はこちら
・2026年度LFPながのHPはこちら

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【連絡先】LFPながの事務局 (株)産直新聞社
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