目次
・LFP⁺ながの「復旧常備食プロジェクト」会議①を開催しました
・復旧常備食プロジェクト キックオフ会議 議事録
LFP⁺ながの「復旧常備食プロジェクト」
~信州産農産物を利用した復旧常備食の開発と共助ネットワークの構築~ キックオフ会議を開催!
10月1日、LFP⁺ながのでは「信州産農産物を利用した復旧常備食の開発と共助ネットワークの構築」をテーマに、復旧常備食プロジェクトのキックオフ会議を開催しました。
本プロジェクトでは、長野県産の農産物や加工技術を生かした食品を、平時には日常的に食べ、災害時には地域を支える「復旧常備食」として位置付けます。
会議では、プロジェクトの基本的な方向性と3つの新商品開発について共有したほか、災害発生後の時間経過に応じて必要となる食品を整理した「復旧常備食マトリクス」、既存の県産加工品の活用、連携企業・団体の拡大などについて意見交換しました。
今後は、新商品の開発だけでなく、県内ですでに販売されている食品にも「災害時にどのように役立つのか」という新たな意味を付加し、平時の消費を災害時の備えにつなげる仕組みづくりを進めます。
復旧常備食プロジェクト キックオフ会議 議事録
(発言者敬称略)
1.開会
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
復旧常備食プロジェクトの今後の具体的な取り組みを決める場として、キックオフ会議を開催した。
冒頭、参加者による自己紹介を行い、農業者、食品事業者、福祉事業者、産学官連携組織、産業支援機関、農林水産省など、多様な立場の参加者が集まった。
今回の会議では、①プロジェクトの基本的方向性、②3つの新商品の開発状況、③復旧常備食の時期と機能に関するマトリクス、④「信州産復旧常備食」としてラインナップしたい県内商品、⑤ネットワークづくりに向けた連携企業・団体、⑥今後のロードマップなどについて検討することを確認した。
2.復旧常備食プロジェクト概要
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
本プロジェクトでは、「地域の食を平時にも災害時にも生かせる仕組みづくり」を進める。
平時の「食べる・買う・使う」という地域の日常を、災害時の「支える・届ける」という力につなげ、農業者、食品事業者、直売所、道の駅、飲食店、キッチンカー、栄養士・調理師、物流事業者、行政、大学・研究機関、地域団体などがつながる共助ネットワークを構築する。
具体的には、県産農産物や加工技術を活用した新商品の開発、既存商品のローリングストック、販売・流通体制の整備、災害時にも活用できる食品やレシピの提案などを進める。
新商品をつくるだけではなく、現在販売されている商品についても、「災害発生後のどの時期に、どのような役割を果たせるのか」を整理し、復旧常備食として位置付け直していくことを重要な柱とする。
今年度は、3つの新商品開発を進めるとともに、「信州産復旧常備食」として20品目程度の商品をそろえ、プロジェクトに賛同・協力する企業・団体50社程度のネットワーク形成を目指す。
商品① 非常時に簡単に食べられる高野豆腐ヌードル
【発言】旭松食品(株) 代理:LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
旭松食品(株)では、高野豆腐を活用し、お湯だけでなく水でも戻すことのできる「高野豆腐ヌードル」の開発を進める。
災害時には加熱ができない場合もあることから、水でも食べられることを重視した商品とする。
既存の商品では外国産大豆が使われているが、今回の取り組みでは国産大豆を使って試作し、将来的には長野県産大豆を原料とすることを目指す。
特に高オレイン酸大豆の活用を検討しており、今年度は国産原料で試作し、来年度以降、県内で高オレイン酸大豆を栽培する農業者を増やしながら県産化につなげていく。
商品開発と同時に、原料となる大豆の生産体制づくりまで含めて取り組むことが特徴となる。
商品② 食べておいしい信州産リゾット
【発言】(株)マツザワ 森本康雄氏
長野県産の米と地域の肉などを組み合わせたレトルトリゾットを検討する。
ただし、重要なのは「防災食を一つつくって終わり」にしないことだと説明。
現在販売している商品についても、災害から復旧していく中で「この段階なら、この商品が使える」と整理し直すことが、復旧常備食プロジェクトの中心になるとした。
リゾットについては、LFP⁺ながのに参加する農業者が生産した米を使うことも検討する。
地域の米を利用すること自体は可能であり、製造ロットや必要量、加工適性などを確認しながら具体化していく。
商品③ 多面的な役割を果たす鹿肉のスープ
【発言】(株)ウォームブランケット 小林博之氏
鹿肉とソルガムを使ったレトルト食品の開発を進める。
基本となるのは鹿肉と雑穀を使ったスープで、そのまま食べるだけでなく、アルファ米などにかけることで雑炊やリゾットのように食べられる商品を想定している。
災害時には米など炭水化物中心の食事になりやすいため、鹿肉や雑穀を加えることで、タンパク質などを補いながら食べ応えのある食事にする。
鹿肉の活用は鳥獣被害対策につながり、ソルガムの利用も地域農業や遊休農地対策などと結び付けることができる。
味については、既存の鹿肉コンソメスープをベースに、トマト味、味噌味など複数のバリエーションを検討する。
また、ウォームブランケットでは障害福祉サービスとして就労支援を行っており、商品の生産が拡大すれば障害のある人の仕事づくりにもつながることから、食品開発、地域課題、福祉を組み合わせた多面的な商品として開発を進める。
3.調査報告:復旧常備食 時期と機能に関するマトリクス
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 大杉
災害発生からの時間経過によって必要となる食品の機能が変化することから、発災後を「フェイズ0」から「フェイズ3」までに整理した。
フェイズ0:発災直後から24時間程度で、水道、電気、ガスなどのライフラインが使えない状況を想定する。缶詰、レトルト食品、長期保存パン、菓子、飲料など、加熱や調理をせずに食べられる食品が中心となる。
フェイズ1:発災から72時間程度。救援や物資の配給が始まり、一部のライフラインが回復し始める段階で、缶詰やレトルト食品に加え、お湯を利用した味噌汁なども利用できるようになる。
フェイズ2:発災4日目から1カ月程度。ライフラインが徐々に復旧する一方、避難生活や復旧作業による疲労も蓄積する。野菜、タンパク質、ビタミンなどを補える食品や、簡単に調理できる食品が必要になる。
フェイズ3:発災1カ月以降で、徐々に災害前の食生活へ戻る段階と整理した。
会議では、実際の災害では必ずしもフェイズ0から始まるとは限らず、被害の程度によってはフェイズ1やフェイズ2に近い状況から始まる場合もあるとの意見が出された。
そのため、災害の段階に応じた多様な食品をそろえ、実際の状況に合わせて利用できる仕組みをつくることが重要とした。
4.調査報告:「信州産復旧常備食」のラインナップ商品にしたい加工品について
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
長野県内の食品企業が製造・販売している商品について調査し、復旧常備食として活用できる可能性のある商品をフェイズごとに整理した。
長期保存できる菓子やパン、飲料、レトルト食品、味噌汁、乾麺など、現在販売されている商品の中にも、復旧常備食として活用できるものが多くある。
今後は各企業に協力を依頼し、「信州産復旧常備食」として20品目程度の商品をそろえていく。
意見交換 既存商品を「復旧常備食」として生かす仕組みづくり
【発言】大福食品工業(株) 新井愛美氏
同社ではコロッケやメンチカツのほか、ミートボール、ハンバーグ、シューマイなどを製造している。
県外企業向けには、名古屋コーチンを使ったミートボールを製造し、レトルトの防災食品に利用している事例がある。
同様に、鹿肉や県内産の肉、野菜、ソルガムなどを使ったミートボールを製造し、レトルト商品の具材として提供することも可能とした。
また、加熱済みの冷凍食品についても、災害直後には保冷剤として利用し、解凍後に食品として活用するなど、復旧段階に応じた使い方が考えられるとの意見が出された。
【発言】(株)マツザワ 森本康雄氏
通常はスーパーなどで販売されている商品でも、「災害時にはこのフェイズで役立つ」「地域の食材を使っている」といった意味を付加することで、消費者が購入する新たな理由になる。
普段から商品が購入され、生産が続くことが、災害時にも地域から食を供給できる体制につながるとした。
【発言】シナのモノがたり合同会社 沖村さやか氏
既存商品に「この商品はフェイズ○から使える」と分かる共通シールを付けることを提案。
「信州産復旧常備食」として共通デザインをつくり、日常の買い物の中で災害への備えを意識できる仕組みにしてはどうかとの意見が出された。
【発言】農林水産省 南諭氏
シールなどによる表示は商品開発の一部として考えられるとした上で、消費者に広く認知してもらうためには、県などとの連携による情報発信やマーケティングも必要になるとの意見を示した。
5.協議:ネットワークづくりにあたっての連携対象企業団体
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
「信州産復旧常備食」の商品ラインナップを増やすため、県内の食品企業、農業者、関係団体への声かけを進める。
目標として、復旧常備食の商品を提供する企業等を20社程度、プロジェクト全体の趣旨に賛同・協力する企業・団体を50社程度まで広げる。
長野県産業振興機構や伊那谷アグリイノベーション推進機構などにも協力を求め、それぞれのネットワークを活用して参加企業を増やしていく。
会議では、参加者が取引や交流のある県内食品企業について情報を出し合い、具体的な声かけ先について意見交換した。
一方、菓子や味噌など同じ分野の企業が複数参加する場合、競合関係への配慮が必要との意見も出された。
復旧常備食は特定企業の商品を販売することが目的ではなく、地域全体で災害時の食を支える仕組みをつくることが目的であることから、多くの企業が参加しやすいネットワークのあり方を検討していく。
自由討論
【発言】(株)光変換光合成促進農法 中澤富夫氏
県内で栽培しているナツメを活用した復旧常備食を提案。
避難生活が長期化した際の食の役割を考え、小麦とナツメを組み合わせた食品や、長期保存できるジャムなどへの加工を提案した。
今後、サンプルなどを提供し、食品事業者と商品化の可能性を検討する。
【発言】全国プラットフォーム事務局(船井総合研究所)森裕樹氏
被災地では、生きるために必要な食料だけでなく、「温かい味噌汁が飲みたい」という声があった事例を紹介。
熊本では、味噌を一食分ずつまとめた「味噌玉」を高齢者施設などへ届け、温かい味噌汁として提供したところ喜ばれたとの報告があった。
災害時の食を考える際には、カロリーや栄養だけでなく、温かさや普段の食事に近い安心感も重要との認識が共有された。
【発言】みのわBOSAIネットワーク 小野智弘氏
実際に災害を経験した立場から、災害は必ず最も深刻な状況から始まるわけではなく、場合によってはフェイズ1やフェイズ2に相当する状況から始まることもあると指摘。
復旧常備食のラインナップを考える際には、さまざまな災害の規模や状況を想定する必要があるとした。
5.総括
【発言】LFP⁺ながの事務局・(株)産直新聞社 毛賀澤明宏
3月までの目標として、以下の流れで進める。
①復旧常備食を支えるネットワークづくり
②商品マトリクスと復旧常備食セットの作成
③3つの新商品開発
④共通ブランディング・シールの作成
10月から協力企業への声かけを進め、11月には新商品の試作を本格化する。
12月ごろには試食評価会を開催し、商品内容を評価するとともに、共通シールなどのデザインも検討する。
1月には、協力・協賛企業などが参加する大規模な発表・交流の場を設けることを検討する。
2月のLFP⁺ながの全体報告会で成果を発表し、3月には報告書をまとめる。
今後は、被災経験者や防災・危機管理の専門家から実際の災害時の食について学ぶ機会も設け、現場のニーズを取り入れながら復旧常備食の内容を充実させていく。
まとめ
今回のキックオフ会議では、「復旧常備食」を単なる非常食や防災食ではなく、平時の地域の食と災害時の食をつなぐ仕組みとして構築していく方向性を確認しました。
新商品として、旭松食品(株)の高野豆腐ヌードル、(株)マツザワの信州産リゾット、(株)ウォームブランケットの鹿肉とソルガムを活用した食品スープの開発を進めます。
一方、復旧常備食の考え方は新商品だけに限定されません。県内ですでに販売されている食品についても、発災後のどのフェイズで役立つのかを整理し、その役割を消費者に分かりやすく伝えることで、日常の消費を災害への備えにつなげていきます。
今後は「信州産復旧常備食」として20品目程度の商品をそろえるとともに、農業者、食品事業者、加工事業者、物流・販売事業者、行政、大学・研究機関、地域団体など50社・団体程度の連携を目指します。
平時に地域の商品を「食べる・買う・使う」ことが、災害時に地域を「支える・届ける」力になる。その循環を長野県内につくり、食の面から災害に強い地域づくりにつなげていきます。
※10月22日に「テーマ別課題検討会⑦」を開催します。参加希望の方は、下記よりお申し込みください!
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お問い合わせ
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