直売所

【地産地消の人々】地場流通の課題にどう対応するか

地産地消の人々 行動する直売所それを率いる人々
寄稿:全国農産物直売所ネットワーク 森岡亜紀

袋井市中部学校給食センターの献立袋井市中部学校給食センターの献立(平成29年2月3日)
ご飯、牛乳、いわしの唐揚げあまだれがけ、青梗菜のおひたし、味噌けんちん汁、節分豆
※かぼちゃプリンは、研修者用試食として提供

社会問題の解決の一役を担う直売所

各地の直売所が地場流通の拠点として、その強靭さを発揮している。多発する震災や自然災害にはじまり、コロナ禍では食料供給だけでなく、雇用の受け皿にもなっている。災害、温暖化、過疎化、高齢化、教育、福祉など今の日本が抱える様々な社会問題において、直売所が解決に向けた一役を担っている。
   

地場流通の4つの課題

しかしながら、直売所などが担う地場流通にも課題はある。本誌で連載する東京農工大学の野見山敏雄教授は、広域流通と地場流通の利点と短所を明確に整理している。
それによると、地場流通の短所は、1に生産量と消費量が限られるため需給調整が困難である、2に取引可能な品目数が限られるため品揃えが困難である、3に周年的な取引が難しい、4に気象変動により出荷量が大きく変動し価格も乱高下しやすいと分析している。
この4点は、地場産活用を広げたいとする人達の、まさに今の課題そのものである。

地場流通はリスクかコストか

近くで作られる食材を学校給食で使用することは食育につながる。病院食で、慣れ親しんだ地元食材が出れば喜ばれる。これがわかってはいても、学校、施設、病院など一定量の食材を計画的に調達する責務のある事業者は、地場流通の課題にあげたようなリスク回避から、使用を躊躇することが多い。
また、価格面だけではなく、生産者側と進めなければならない量や質の調整、発注や納品業務が手間(つまりはコスト)と捉えられる側面もある。この調整役を地域の直売所に求める要望も多い。

畑を知る教育委員会のコーディネーター

地場流通の課題がある中、活用が進んでいる給食現場では、一体どのような取り組みが進められているのか。具体的対策を講じているのが静岡県袋井市だ。
同市のコーディネーター役は、袋井市教育委員会おいしい給食課の石塚浩司さんだ。3つの給食センターから毎日約1万食の給食提供が本業だが、農政畑の人と間違われるほど地元の生産者や農業に通じている。

地域特産品と給食使用食材のズレ

袋井市は「日本一健康文化都市宣言」を提唱し、平成19年度から学校給食における「米以外の地場産物を使用した日数」と「野菜摂取量」の増加を数値目標に掲げて進めてきた。しかし、市の特産品は米、メロン、茶など、給食の主要品目とのズレがあった。

10品目の野菜使用に的を絞る

そこで、石塚さん達が進めたのが、給食で頻繁に使用する10品目野菜の絞込みとその優先使用だ。
選んだのは、たまねぎ、キャベツ、白菜、じゃがいも、大根、さつまいも、きゅうり、根深ねぎ、青梗菜、小松菜の10品目野菜。選定基準は、1に学校給食で使用頻度が高いもの、2に市内で生産が可能なもの、3に保存可能な野菜であるもの。これら10品目は市内産であることが価格よりも優先されるルールとした。そして、10品目の使用割合を平成24年度の13・8㌫から28年度までに30㌫にする新たな目標を定めた。

限られた生産量でも手を挙げられる

目標を達成するための手段として、野菜見積書の様式変更も行った。新様式では、同じ品目でも市内産・市外産に分けて提供量と価格を併記することができる。つまり、全量を市内産で揃えられなくとも納品できるので、直売所や生産者も安心して参加できる仕組みとなった。

農産物を加工し、保存し、長く使用

袋井市の学校給食では、各地でボトルネックとなっている地場野菜の保存や加工にも一石を投じた。一斉に収穫期を迎えるたまねぎ、トマトなどは製造工程管理を徹底させて一次加工を進め、長期使用につなげている。また、野菜の貯蔵庫の整備など、野菜の使用拡大に向けたあの手この手を講じ、確実な成果をあげている。

地域特性に合わせた対応を

10品目の使用割合は、平成24年度の13・8㌫から令和元年度までに43・3㌫に達し、金額では350万円から2,680万円とおよそ7倍に伸びた。当初からの目標でもあった野菜摂取量は20㌫も増加している。

地場流通の課題はほぼ出揃い、全国的に共通している。その課題に対して地域特性に合わせてどのような対策を講ずるか。作り手と使い手の知恵をすり合わせ、地場産物や未利用資源の需要を掘り起こしてもらいたい。

※この記事は「産直コペルvol.46(2021年3月号)」に掲載されたものです。