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【特集 LFP】LFPから生まれ、 宮崎県が育成を決めた 7つのプロジェクト

令和3年度のLFP事業に名乗りを上げたプロジェクトのうち最終選考に残ったのは8つ。宮崎県は、国庫補助を活用する1プロジェクト以外のプロジェクトについても、県の単独事業となる「ポストコロナ食農連携プロジェクト推進事業」を補正予算により構築し支援を決めた。県が独自に育成する7事業を紹介しよう。(まとめ・中村光宏)

1、日南産グレープフルーツを使用した新商品開発

事業主体 柑橘加工品開発プロジェクト
パートナー ㈲緑の里りょうくん、㈱ひょっとこ堂、(同)LC、㈱宮交シティ

香りをたしかめる女性グレープフルーツ

このプロジェクトは生産量35トンを誇る日南・大窪産のグレープフルーツを加工して、1年を通じて楽しんでいただける特産品を生み出すことで、地域全体における柑橘農家の高齢化による減少に歯止めをかけ、地域振興に役立てようとするものです。現在は、その第一弾として100%天然もののシロップとグレープフルーツのナチュラルなフレーバーを楽しめるオリーブオイルを開発中です。おそらく国産グレープフルーツがあること自体ご存じの方が少ないと思いますが、国内だからこそ樹上で完熟させることができるグレープフルーツは果汁の量が尋常ではないだけでなく濃厚で高糖度。1玉が1kg以上に育つんです。その上、防腐剤・防カビ剤・ワックス不使用ですから、果皮までご堪能いただけます。そんな香りも味も最高の樹上完熟グレープフルーツを、季節を問わずにお楽しみいただけるようLFPプロジェクトメンバー一同、日々開発に精を出しています。(㈲緑の里りょうくん 田中理恵さん)

2、健康志向に対応する“きんかんミルク甘酒”企画

事業主体 ベジフルミルクあまざけ協議会
パートナー JA宮崎経済連、㈱Milk Lab.、宮崎長友農園㈱、㈱宮交シティ、㈱シエナ・シノ、宮崎大学

宮崎県のきんかんきんかんミルク甘酒

「Milk Lab.」は、宮崎県の牛乳メーカーが甘酒に挑戦するべく2018年に立ち上げたベンチャーです。翌年には凍らせても温めても美味しい「フローズン優乳甘酒」を発売。ご好評いただいています。今回企画しているのはその新商品で、優乳甘酒に宮崎名産の完熟きんかん「たまたま」を組み合わせ、免疫力の向上などが期待できるβクリプトキサンチンを多く含有する甘酒です。きんかんは、生で食べると多少エグみを感じる方が多いのですが、当社の甘酒に混ぜるとそれが消えてとても美味しいんです。効果・効能については、宮崎大学にも加わっていただき、しっかりとした実証を繰り返していただきながら製品化を進めており、2022年2月には自信を持ってお披露目したいと思っています。またパートナーにJA宮崎経済連が加わってくださったおかげで、季節ごとの果物や野菜を併せたスムージーなどをご家庭にお届けするサブスクリプション企画もスタートできそうです。(㈱Milk Lab. 古市佳代さん)

3、オンラインで楽しむ観光農園ツアー

事業主体 みやざきローカルフードプロジェクト観光事業協議会
パートナー ㈱ひとしお、㈲緑の里りょうくん、ネクストファーム㈱、㈱ひなたいちご園、レイクサイドレッドファーム、㈱デイリーマーム、JA高千穂地区、㈱田口ファミリーファーム、㈱エイチ・アイ・エス

みやざき食農連携プロジェクトオンラインツアー

「エイチ・アイ・エス」では、2020年5月から家に居ながら世界中を旅することができるオンライン観光ツアーを実施。今までに世界15万人の方々にご参加頂いております。今回、そのスペシャル版ともいうべき宮崎県のオンライン観光農園ツアーをLFPパートナーとの連携により開催しております。通常は立ち入り禁止の場所まで入れ、見ることができないものも見ていただけるのが最大の魅力。去る11月28日に第一回を開催し、ネクストファームさまで希少な国産バナナ農園を見ていただきました。その他、いちご農園、切り花農園、果樹園など様々な場所を旅していただく予定です。もちろん、収穫体験した作物や花卉はご自宅にお届けしますので、美味しさ・美しさはリアルに味わっていただけます。そんな体験や食を通じて宮崎の魅力を伝え、ポストコロナには是非来県して、宮崎を旅していただきたい。このツアーがその一助となればと思っています。(㈱エイチ・アイ・エス 島内謙人さん

4、高品質・高効率な新物流サービスの創出

事業主体 ひなたFOOD新物流コンソーシアム
パートナー 綾町自然生態系農業農力向上委員会、㈱宮交シティ、みやざき地頭鶏事業協同組合、㈱ソラシドエア

航空会社ソラシドエアの機体と車両みやざき地頭鶏

このプロジェクトは、宮崎の航空会社ソラシドエアの新規事業「空陸一貫 高速小口貨物輸送事業」をベースにLFPパートナーが連携することで生まれました。具体的には、例えば今まで通常運賃ではどうしても中一日が必要だった宮崎-東京間を、出荷元→宮崎空港、羽田空港→納品先の配送も一元化して迅速な物流を実現しようというもの。去る10月27日から運用開始しましたが、11時に宮崎市内の宮交シティを出発した物品が東京・新宿に15時には届いています。現在は、宮交シティが集積所としても機能しており、配送先はその親会社である「いちご㈱」が保有するホテル「THE KNOT TOKYO Shinjuku」内のレストラン「MORETHAN GRILL」。同店の看板メニューの素材となるみやざき地頭鶏と綾町の有機野菜を運んでいます。東京での販路も拡大し、近い将来には、LFPが生み出した他の7プロジェクトの加工品なども東京に運びたいですね。(いちご㈱/㈱宮交シティ 田口沙緒理さん)

5、高千穂産農産物を核とした新商品と新サービス

事業主体 高千穂町農産物加工連携会議
パートナー あまてらすの娘たち、だごみや工房、もちばる夢工房、㈱訪う、五ヶ所高原蕎麦組合、甲斐製茶園、NPO法人 高千穂アカデミー

開発会議のようす

今までの高千穂特産の加工品は、パッケージデザインもコンセプトもバラバラでした。今回、LFPの名のもとに農業・加工・販売業者さまが一堂に会し、連携会議が発足したことで、それらを統一し、高千穂産品の価値向上を図ろうとしています。具体的には、パッケージを一新し、商標登録したロゴをつけることで統一感を出します。さらに地元のコンニャクイモを使った健康志向に対応するチップスや、これまではそば粉までしか製造していなかったそばを製麺までして、名産のシイタケと合わせてセット商品にするなどの新製品を追加予定。商品開発から消費者評価までを食の6次産業化プロデューサーに総合プロデュースしてもらっています。また地元のイベント企画会社等と連携し、栽培から加工までを網羅した農業体験オンラインツアーも実施予定。参加者に登場した加工品を試食していただくなど、広報しながら消費者評価を得るプランなども具体的に進み始めています。(高千穂町役場 竹次元生さん)

6、海外に発信するみやざき地頭鶏の新メニュー

事業主体 みやざき地頭鶏事業協同組合
パートナー ㈱シエナ・シノ

みやざき地頭鶏(じとっこ)会議・打ち合わせ風景

LFPプラットフォームで出会った宮崎在住の料理研究家、シエナ・シノの篠原有紀子さんと連携し、香港で通じるみやざき地頭鶏料理のレシピを考案して、香港への継続的輸出を図ることが計画の骨子です。みやざき地頭鶏の生産に使われる“地頭鶏”は、名前の通り、昔は地頭(領主)に献上されたほど美味で知られる国の天然記念物。JAS規定では75日以上と定められた飼育期間をオス120日、メス150日と長くとり、1㎡あたり10羽以下という同規定を凌駕する1㎡に2羽という環境で育てた鶏は柔らかく味が濃厚で冷えても美味しい。そんな宮崎自慢の鶏をレシピと一緒にお届けすることで、美味しさだけでなく和食文化もPRできればと考えています。だから、現在は6品が完成しているレシピも味噌仕立ての鍋料理や天ぷらなど日本食が中心。香港の方々に、みやざき地頭鶏の美味しさを100%味わえる日本料理をお届けできると思っています。(みやざき地頭鶏事業協同組合 徳留英裕さん)

7、自宅消費を意識した県産シイタケの新商品

事業主体 田中椎茸
パートナー Kokoya de kobayashi、Bistroマルハチ、㈱宮交シティ

田中椎茸開発現場

江戸時代には海外でも美味で知られ、日本の特産品として積極的に輸出された原木シイタケは今、手軽な菌床シイタケの登場もあってシェアが縮小傾向にあります。その復活を願いLFPに参加したのですが、そこで偶然、弊社のシイタケの美味しさをよくご存じの、宮崎のレストラン「Kokoya de Kobayashi」の地井 潤シェフ、「Bistroマルハチ」の八田 淳シェフと出会い、プロジェクトが成立しました。具体的には、八田シェフが講師を務める延岡学園高等学校 調理科の生徒さんのご協力のもと、私たちが丹精込めた生・乾燥・冷凍の3種の原木シイタケに合う料理を作っていただき、2022年1月23日にコンテストを開催予定。上位作品をシェフがブラッシュアップしつつご自身の作品も加えていただき、都会に住む方々がおうち時間をちょっと贅沢に楽しめる、そしてシイタケの概念が覆る計5~6品のミールキットを開発したいと考えています。発売は来年度早々の予定です。(田中椎茸 邊木園浩子さん)

この記事を書いた人
産直コペル 編集部
この記事は、産直新聞社の企画・編集となります。